> 北杜夫全集2(新潮社) > 一緒に掲載されているのは > 「遙かな国遠い国」など。
短編「河口にて」では マグロ調査船に乗ってからもう3か月になる 著者の目からの書き物である。
ここはまだ河口で、冬のアントワープの港を出港してから 丸二日かかっても船はまだ海に出ていない。 フランスの港に着くのはいつになるのか。
高等学校以来の友人が 3年ほど前からフランスに留学していて もうとうに奨学金がきれているはずなのに 一体どうして暮しているのか おそらくひどく貧乏しているのだけは間違いない と書いている。
この友から船の着く港に細かい字でぎっしり書きこまれた 絵ハガキが届く。
どうやら、この友のアパートの近所に住むリスボン生まれの 14歳の少女に出してもらったハガキらしい。
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