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[No.94] 「ノストラダムス大予言の秘密」 投稿者:   投稿日:2011/11/13(Sun) 22:51
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「ノストラダムス大予言の秘密」
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 この本の副題が『1999年7月 はたして人類は滅亡するか!』というおっかないものだった。著者は高木彬光氏である。

 出だしを読むと、その前に出た五島勉の「ノストラダムスの大予言」に対する批判、反駁のために刊行されたように受け取れる。

 ま、講談社の前掲書が当ったから、おらの方でも一発やんべいと、日本文華社が、尻込みする(したかどうかは保証の限りでないが)高木氏を脅したり、賺したりして、書かせたのかもしれないが…。

 ノストラはご存じのようにフランス生まれである。ところで、ノストラの謎に満ちた予言の書をどう読み解くか。五島氏はフランス語に強いが、あいにくと、高木氏の方は弱い。そこをどうしたか。

 運よく高木氏の方にもつよい援軍が見つかった。それは息子夫婦で、ベルギー暮らの経験がある。おそらく仏語は、ペラペラだったのだろう。

 さらに、むずかしい個所には息子の友人がいた。かれは中世フランス語を専攻と云う願ってもないプロだった。何といっても大事なものは人脈である。

 一方、五島にもアキレス腱があった。それはノストラの4行詩を全部読んでいないことだった。かれの著書にはそのうちの、たった数十篇しか載っていないらしい。

 高木の手に入れた種本は、なんとそのほとんど、つまり967編という大量の詩篇が収めてあった。

 ま、これで、勝負がついたような紋だが、このほか高木が、自分で見つけたいくつかの資料を駆使して、一般大衆に向かって「心配せんでもええ、その日にはぜったい来いへんさかいな、滅亡なんてあらへん」と優しく慰めてくれる仕掛けになっているのら。

 事実、その日には何も起こらなかった。西暦3797年までは、とにかくわいが保証したる、面倒みたると高木は大きく胸を張る。

 滅亡の日をこれだけ先に設定しておけば、『あんさんの云うてた日いに、来いへんかったで、どないしてくれるんや、落し前をどないしてくれるんや、このガキ』などとスゴマれたり、迫られるたりする気づかいはない。

 大体、迫る方も、迫られる方も、その頃に成ったら、もうどこにもおらへんのや、さかいな。(*^_^*)


[No.95] Re: 「ノストラダムス大予言の秘密」 投稿者:男爵  投稿日:2011/11/14(Mon) 06:18
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唐辛子 紋次郎さん   こんにちは

>  この本の副題が『1999年7月 はたして人類は滅亡するか!』というおっかないものだった。著者は高木彬光氏である。
>
>  出だしを読むと、その前に出た五島勉の「ノストラダムスの大予言」に対する批判、反駁のために刊行されたように受け取れる。

この本は昭和50(1975)年2に初版が発行されたのですね。
そのきっかけは、「ノストラダムスの大予言」(G島勉)が大変なベストセラー
になったのですが
大人はともなく精神の未発達な若者たちに特に不安感を与えたことに
高木彬光はこれは問題だ、よしそれでは自分が真実を明らかにしてやろうと思ったのですね。

G島勉氏を以下G氏と書くことにしますが
この「ノストラダムスの大予言」の中で、G氏はノストラダムスは世界史上最高の
大予言者であると祭り上げて、その予言の的中率は99パーセントと断定して、
そのうえで人類最後の破滅の日が1999年7月に迫っていると宣言したのです。

この本が出てから、若い女性の中には
「あの『大予言』は、ほんとうにあたるのでしょうか?」とか、
「子どもを作ってもいいのでしょうか?」とか、
「この子の将来はどうなるのでしょう?」と高木彬光に質問した人が多かったそうです。

本格的に論ずるため、G氏の本にも載っている原書「ヘンリー・G・ロバーツ:
ノストラダムスの全予言」(The Complete Prophecies of Nostradamus)をアメリカから
取り寄せ、これを徹底的に読んで、高木彬光はG氏の本を批評しています。
この本の各ページには、左半分に中世のフランス語で書かれた4行の原詩、
右半分にはロバーツ氏の英訳が載せられているのです。

実は
高木彬光は作家の中では比較的占い研究を続けた方で、占いに関する著書も
数冊出版しています。
彼の目からすると、ノストラダムスは「霊感占い」に属するそうです。

高木彬光によると、占い師のうち9割くらいは、霊感占いであり、
ひどい例では、東京オリンピックの年に東京大震災を予言したことがあるそうです。
みごとにはずれたわけですが、高木彬光が後でその占い師に尋ねたら、
彼は「東京大地震になったら大変な被害が出るから、神様たちが会議を開いた
結果、しばらくとりやめることにした」と答えたそうです。
(当たるも八卦、当たらぬも八卦)(言い訳した占い師)

歴史を見れば
ノストラダムスは国王アンリー2世の寵愛を失い宮廷を去らねばならなかった。
彼が国王にあてた手紙を解読すると、「いま一度、宮中に復帰したい」という
願望を高木彬光は感じたという。息子の描いた肖像画を見て、口のあたりに
欲望の満たされない不満を感じた高木彬光は、自分の才能が正当に評価されず
世に受け入れられぬ不満を持ったノストラダムスにしてみれば、予言が暗い色彩
をおびてくるのも当然であると推定する。

「どうにでも解釈できる予言」を異常誇大に解釈したG氏の「1999年7月に
おこるといわれる全人類の大破滅」、これを明確な証拠により粉砕しようという
高木彬光は、ノストラダムスがそのあとの人類の未来も書いてあることを指摘するが
いまは省略します。

たとえば、あのちびまる子のコミック(第8巻)にこんな場面がある。
「明日の試験にいい点をとっても、どうせ1999年7月にこの世は滅びるのだから、
ムダな努力はしないもんね」そう言って、勉強もせず部屋でごろごろして
「ドラえもん」を読みふけるまる子の姿。

それに対して日常的常識的な姉は「あんた、もし何も起こらなかったらどうするの。
バカな大人としてみんなに笑われるよ」とたしなめる。
「1999年はどうなるかわからないけど、明日の試験ができなければ、100%
確実に怒られるでしょ」

さめたまる子の姉のような人はよい。
なんと多くの人が、心配しすぎて悩んだことだろう。
これを悪用して、新興宗教で勧誘したものもいたろう。
ノストラダムスのいうことを全部信じたら、未来は人間がどう努力しても変えられ
ないのだから、諦めるほかはないのだが。(彼はその本の中で運命は定まっていると書く)

売らんかなの出版社と世の不安をあおるG氏に決然と戦いをいどんだ高木彬光は
すでにこの世にいません。

1999年7月は何事もなくすぎていった。
きたる2000年7月を無事過ごして、改めて高木彬光の真面目な作家活動と勇気を
讃えたいと私は思うのです。


[No.100] Re: 「ノストラダムス大予言の秘密」 投稿者:   投稿日:2011/11/14(Mon) 20:40
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 あっしも確かにそういう書き方をしましたが、それはマッタク五島、高木氏の前掲書についてご存知のない向きがあるのを考慮して触れたのですが、また一方見方を変えれば、

 日本でのいわゆるノストラパニックを論じる前に、まず紋題のノストラダムスとは誰かと云うところに戻って論じる必要があるようです。

 たまたま『滅亡の年』、1999年の2月にある雑誌に発表された予言についての文☆を読みました。何よりもかれノストラは、預言者である前に医師であるということでしょう。

 筆者は、ノストラは町の怪しげな占い師のようなものでなく、高い知性の持ち主であり、もしかれが今の時代に生きていたとしたら、恐ろしい呪文を唱えたりはせず、ひたすらコンピュータに向かって、冷静な分析を行うだろうと予測しています。

 また当時の状況についての予備知識も必要だといいます。つまり、かれは予言者でもなく、僧でもなく、文学者でもなく、科学者でもなく、そのすべてであったと云っていい、と。

 ただかれにも、ケッコウ自意識のつよい、ある意味では自己宣伝の好きな一面がなかったとはいえません。

 それから、あの預言書の前身ともいうべき『アルマナック』の存在も見逃せないといいます。アルマナックとは小型の本で、日本の暦に似ています。来年の天気の予想や、運勢などを載せたようです。

 かれも最初は常識的な記述でそれをやってみたのですが、これがあまり一般に受けない。研究の末、俗な言葉で云えば、これは怖がらせるに限ると確信したらしいのです。本物らしく見せることが第一で、そのためには終末輪まで動員した次第。それがまた、功を奏して空前のヒットとなった。

 またノストラはなかなか頭脳的で、難解な言葉を多用したのもその延長線上にあるといいます。東洋の小国にまでパニック現象を引き起こしたあの予言の当たりはずれについても、一番近いものでも1580年、17世紀、18世紀と気の遠くなるような未来にその日を設定しています。ところが、当のご本人は追及される前の、1566年には別世界へ引っ越ししてもうこの世にいない。楽勝である。(*^_^*)

 また、当時の人たちも『予言』というものを深刻に考えることなく、ほとんどゲーム感覚だったとの指摘もあります。

   ☆竹下節子「ノストラダムスー『預言書』の文体とその意味」


[No.102] Re: 「ノストラダムス大予言の秘密」 投稿者:男爵  投稿日:2011/11/15(Tue) 06:04
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唐辛子 紋次郎さん   ありがとうございます。

>  あっしも確かにそういう書き方をしましたが、それはマッタク五島、高木氏の前掲書についてご存知のない向きがあるのを考慮して触れたのですが、また一方見方を変えれば、
>
>  日本でのいわゆるノストラパニックを論じる前に、まず紋題のノストラダムスとは誰かと云うところに戻って論じる必要があるようです。

おっしゃるように
ノストラダムスは、預言者である前に医師でしたね。

当時からユダヤ人たちは衛生観念があって
だから
疫病がはやっても(食器や身の回りのものを)熱いお湯で消毒したりして
ノストラダムスやユダヤ人たちは元気だったので
一部にはユダヤ人が毒をまいたのではないか(だから自分たちだけは元気)
という噂も流れたようです。

ドイツの町外れに、むかしのユダヤ人たちが体を洗ったという浴場跡があります。
こうして体を浄めてユダヤ教会に行っていたらしい。

>    ☆竹下節子「ノストラダムスー『預言書』の文体とその意味」

この本も読んだことがあると思います。


[No.116] Re: 「ノストラダムス大予言の秘密」 投稿者:   投稿日:2011/11/17(Thu) 11:03
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  男爵さん、みなさん、

> 当時からユダヤ人たちは衛生観念があって
> だから
> 疫病がはやっても(食器や身の回りのものを)熱いお湯で消毒したりして
> ノストラダムスやユダヤ人たちは元気だったので
> 一部にはユダヤ人が毒をまいたのではないか(だから自分たちだけは元気)
> という噂も流れたようです。

 9月11の時も、ユダヤ教徒はやられなかったから、あらかじめ事件を知っていたのではとか云ううわさが流れた。

> ドイツの町外れに、むかしのユダヤ人たちが体を洗ったという浴場跡があります。
> こうして体を浄めてユダヤ教会に行っていたらしい。

海外へ行くと、ユダヤ教の教会、シナゴーグがコースに入っていることが多いですね。かれの祖父も、ユダヤ人だった。キリスト教に改宗した際、ノートルダム(聖母の意)と改名した。また、三番目だかの配偶者の名も、マリー(やはり聖母)であった。

 かれの祖父には、出自を隠そうという意識的、または無意識的な意図があったのかも。

 もちろん、ノストラダムスはノストラ『騙す』ではないのですが、宝くじの予想屋のように、たぶんお客の心理に精通していたんでしょうね。初期のころは、近未来を予想するという愚を犯し、失敗も多く、あの預言書も、それらを踏まえて上での深い反省の上に書かれたのでしょう。


[No.118] Re: 「ノストラダムス大予言の秘密」 投稿者:男爵  投稿日:2011/11/17(Thu) 11:13
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語学につよい唐辛子 紋次郎さん

> .....、ノートルダム(聖母の意)と改名した。

ノートルダム 
 フランス語で「我らが貴婦人」すなわち聖母マリア
のこと。

ドイツでも ウンザー・フラウ でしたね。

ということは英語なら
our lady (Our Lady)
となるのでしょうか。