画像サイズ: 309×510 (55kB) | この本の副題が『1999年7月 はたして人類は滅亡するか!』というおっかないものだった。著者は高木彬光氏である。
出だしを読むと、その前に出た五島勉の「ノストラダムスの大予言」に対する批判、反駁のために刊行されたように受け取れる。
ま、講談社の前掲書が当ったから、おらの方でも一発やんべいと、日本文華社が、尻込みする(したかどうかは保証の限りでないが)高木氏を脅したり、賺したりして、書かせたのかもしれないが…。
ノストラはご存じのようにフランス生まれである。ところで、ノストラの謎に満ちた予言の書をどう読み解くか。五島氏はフランス語に強いが、あいにくと、高木氏の方は弱い。そこをどうしたか。
運よく高木氏の方にもつよい援軍が見つかった。それは息子夫婦で、ベルギー暮らの経験がある。おそらく仏語は、ペラペラだったのだろう。
さらに、むずかしい個所には息子の友人がいた。かれは中世フランス語を専攻と云う願ってもないプロだった。何といっても大事なものは人脈である。
一方、五島にもアキレス腱があった。それはノストラの4行詩を全部読んでいないことだった。かれの著書にはそのうちの、たった数十篇しか載っていないらしい。
高木の手に入れた種本は、なんとそのほとんど、つまり967編という大量の詩篇が収めてあった。
ま、これで、勝負がついたような紋だが、このほか高木が、自分で見つけたいくつかの資料を駆使して、一般大衆に向かって「心配せんでもええ、その日にはぜったい来いへんさかいな、滅亡なんてあらへん」と優しく慰めてくれる仕掛けになっているのら。 事実、その日には何も起こらなかった。西暦3797年までは、とにかくわいが保証したる、面倒みたると高木は大きく胸を張る。
滅亡の日をこれだけ先に設定しておけば、『あんさんの云うてた日いに、来いへんかったで、どないしてくれるんや、落し前をどないしてくれるんや、このガキ』などとスゴマれたり、迫られるたりする気づかいはない。
大体、迫る方も、迫られる方も、その頃に成ったら、もうどこにもおらへんのや、さかいな。(*^_^*) |