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[No.298] ゲーテ「イタリア紀行」 投稿者:   投稿日:2011/11/29(Tue) 16:16
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ゲーテ「イタリア紀行」
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旅行記と云うことばの軽さから、ついその内容まで物見遊山的なものを想像させてしまいがちだが、この旅はかれゲーテにとって重要な意味をもっていたようだ。

 出発直前のゲーテは実生活の上でも創作の面でも、大きな壁にぶち当たっていたらしい。

 二年そこそこの旅が、かれの前に立ちふさがるこの壁を打ち砕いてくれたのだと思う。

 訳本は上、中、下とかなりの量があるので、感想をまとめるのも難しいが、あっしは中巻の、シチーリア訪問。

 あっしには、イギリス人に化けたゲーテが、案内者とともにあの有名な詐欺師カリオストロの家族に会い、そのときの状況を事細かに書き綴った個所がいちばん興味深い。

 このときゲーテは完全にイギリス人になりすまし家族に会うのだが、ゲーテこそ近頃かまびすしく云われる『成りすまし』の元祖ではないかと、あっしには思われた。

 ゲーテにとってのイタリア語は、既知の言語で、その方言は別として、標準語なら苦労なしに、すらすらと話せたらしい。


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