[No.680]
佐貫亦男著「新発想のモザイク」
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投稿日:2011/12/21(Wed) 00:03
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佐貫さんの本にもうひとつ、良いのがあった。欧州各国のひとの発想を一流の分析で三大別し、フランス、イタリアは微分発想法、ドイツ、スイス、オーストリア、ソビエト(現ロシア)*は積分発想法、イギリスは時間遅れ発想法とした。
アメリカは三種混合、中国は微分発想法の一変形、日本も微分発想法の変形だが、中国とは異なる別のタイプ。
この本では、こういう前提の上で、その対象となった各国を歴訪し、自説を確認して歩く。
独逸より大きかったオーストリア、なぜに矮小化してしまったか。それはいつに積分発想の権化ひげのフランツことフランツ・ヨーゼフ皇帝の失敗によるとみる。領土は小さくなったが、国民は世界中から愛されるようになったともいう。
スイスは、ドイツ系が多く住むが、適量のフランス系、イタリア系が入ったため、積分発想法が修正されていい結果を生んでいると考える。
イタリアでは、機械屋さんのためか、デザイン、『微分的発想の精華』であるインダストリアルデザインなどについての賛辞も多く、かれらをもって、天才的造形発想の持ち主とするかたわら、共存する悪魔的発作発想の存在も見逃さない。
フランスはイタリアとおなじ、微分発想だそうなので省略して、イギリスはどうだろう。
第二次大戦では、敵方ドイツに対し、時間遅れ発想が功を奏し、逆転勝利を勝ち取った。しかし、敵のいなくなったいま、昔日の元気がないとみる。
以上の分類は、極端のそしりはあっても非常にユニークで、あっしなぞ、括目に値すると信じている。
* 30年以上まえに書かれたため。