[No.585]
Re: 大東亜民俗学の虚実
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/15(Thu) 17:52
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そうそう
この本は 川村湊:「大東亜民俗学」の虚実、講談社選書メチエ80
です。
李能和は朝鮮巫俗考を漢文で書いた。
他の人の説明によれば、一民族の民族主義(ナショナリズム)は、
常にインターナショナリズム(国際主義)との関わりにおいて形成されるべきものであることを証明したようなもの。
漢文は東アジアにおける国際語なので、ナショナリズムを主張するためには、
国際語の漢文で書くことが必要と考えたらしい。
つまり、岡倉天心や新渡戸稲造が、英語で民族主義的な著作を書いたようなもの。
これに対して、日本の国学は、漢意(からごころ)を否定し、和魂(やまとだましい)を強調したので、
本居宣長などはつとめて漢字を使わず、大和言葉を使った和文脈の文体を工夫した。
だから、今の韓国においても、漢字を使わず、ハングル文の氾濫が見られるのだ。
崔南善「薩満教答記」 薩満教(シャーマニズム)
この本は同じ朝鮮巫俗を扱いながら、ハングル文で書かれた。
朝鮮固有の民族的宗教として今また民間信仰の主柱となった巫俗は、
実は東北アジアの全国民間に共通する信仰として、
学者たちがシャーマニズムと呼ぶ原始宗教の一種なのである。
なるほど モンゴルも満州族もそうだ。
日本の卑弥呼に認められる巫女の伝統も、恐山のイタコもみなこの系統。
中国の儒教・道教的な文化に対する、薩満教(シャーマニズム)を
見直すことで、自分の民族の独自性を究明すること。
これは日本にも、朝鮮にも、モンゴルにも必要なことかもしれない。