[No.604]
Re: 死にかけた日本語
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/16(Fri) 14:55
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> 死にかけた日本語―私設・マスコミ校閲部 (1976年)
余波をかって
「言論人」(51.1.15)を読んでいたら
「...の余波をかって...」とあったので
はじめ「余波をかぶって」の誤植かと思ったが、それでは意味が通じない。
どうやら「余勢を駆って」(勢いに乗って)の間違いらしい。
鍛治屋
「荷風全集」(岩波書店)第22巻258ページに
「大谷といふは本所三目辺の鍛治屋の倅なる由」とあるが
鍛治屋は「鍛冶屋」でなくてはならない。
これは荷風の書き損じである。
興味深々
「ゲーテ全集」(人文書院)第3巻196ページに
「そういうお話を承ることは興味深々たるものがあります」
とあるが、興味津々と書くべきである。
興味が次々とわいてきてつきないさまのこと。
興味深々と書かれているのを時々見かけるのは、「興味深い...」
の「深い」につられるからだろうか。
これは遠藤周作のテレビでのコメントで有名。
若冠二十歳
「自由世界」(50.5)68ページに
「1932年若冠二十歳で入党したが....」とあるが
若冠は弱冠と書くべきであろう。
日本語は難しい。
外国人でなくても、日本人でも間違える。