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[No.639] 世界の秘話 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/18(Sun) 07:45
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庄司浅水ノンフィクション著作集 世界の秘話  三修社

ナポレオンを敗退させた陰の女性 トルコ皇后エイメ
 ナポレオンがモスクワ遠征で敗退したのはモスクワの冬将軍もあったが
その陰には、一人の女性の報復の手のあったことを見逃してはいけない。
その女性はトルコ皇后エイメである。彼女は自分の生んだ息子マフムトがトルコ皇帝となったため皇后の地位についた。

そのとき、ナポレオンはジョセフィーネを離婚してオーストリア皇女マリー・ルイズと再婚したのだった。ナポレオンは跡継ぎがほしかったから。

フランス領の西インド諸島東部の小アンティル諸島のなかにマルティニク島がある。
このマルティニク島のサトウキビ農園主の娘として生まれたジョセフーヌは両親が病死したため、伯父夫婦のもとに引き取られた。この伯父夫婦にはジョセフィーヌより2歳年上のエイメがいた。

従姉妹同士のエイメとジョセフィーネは仲良しだった。
あるとき黒人の占い女から次のような予言を与えられた。
ジョセフーヌは二度結婚して、二度目の夫は多くの国々を征服し、ジョセフーヌも一国の皇后よりも高い地位に上るが、のちにこれを失う。
エイメは航海中にイスラム教徒の海賊に襲われ、トルコ皇帝のハーレムに連れてゆかれ、皇帝の息子を生む。その後、半生を通じて広大華麗な宮殿をわがものとして絶大な権力をふるうことになる。

はたして運命は予言そのままにすすみ、ジョセフーヌを離婚したナポレオンは
1812年にロシアとトルコが戦っているため、トルコ皇帝マフトム二世にロシアとの戦争資金として巨額の援助を申し出たが、トルコからなんの返事もなかった。
ナポレオンがロシア遠征にむかったとき、トルコ皇帝はロシア皇帝との秘密の講和協定に調印した。その理由がわからず、ロシア皇帝は驚喜し、トルコ戦線にいた五万の兵力を北方に移動させた。
9月30日 炎上したモスクワを前に、追い討ちをかけるかのように
モスクワの西方640キロの地点にトルコ戦線から戻ってきた五万のロシア軍が現れ、フランス軍の補給線を遮断してベレジナ河の西岸に陣地を整え彼らの帰りを待ち構えていたのだった。

こうしてエイメは仲良しジョセフーヌのためにナポレオンに復讐をした。
エイメが歴史上に果たした大きな役割を証明する資料は、フランス、ロシア、トルコのいずれの国からも発見されてはいない。


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