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母の記憶から 投稿者:E Pili Mai 投稿日:2022/07/31(Sun) 12:27 No.14

母の記憶から

今は亡き、昭和5年生まれの母に、20年以上も前に聞いたおぼろげな記憶です。
私の祖父は徳島県鳴門市で塩業に携わる仕事をしていました。
7人兄弟の母は、終戦前に長兄(当時24歳)を出征先で亡くしています。
出征前の長兄にセルロイドの筆箱を買ってもらった唯一の思い出を、いつも嬉しそうに話していた顔が目に浮かびます。

終戦直後の混乱期、15歳の母は直ぐ上の姉と共に、塩の入った風呂敷包みを担ぎ、少し離れた村の農家へ、米やその他の食べ物と交換する為に汽車に乗って出かけたそうです。
何軒も廻って、やっと交換してもらったわずかな食料を手に入れた帰り、汽車の中で憲兵の見廻りに合ったそうです。
見つかれば取り上げられると思った時に、大きなマントを着た見知らぬお爺さんが、すっぽり隠してくれて、事なきを得たそうでした。

2022/07/31 E Pili Mai

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