「違いの分かる男」の名コピーで日本全国にあまねく知られ。インスタントコーヒーの代表格になった、ネスコーヒーの親会社、ネスレ。スイスのこの、世界最大を標榜する食品会社が、実は半年ほど前、中国は上海で起した事件をご存知だろうか?
同社と地元の乳製品会社が提携して売り出した粉ミルクに、基準値を上回るヨードが入っていて、人体に悪影響が出るというので、大規模なリコールが行われたのである。このときのネスレの態度が中国人の癇に障り、かの地のマスコミは連日、非難の矢を放った。
同社は回収に対ししぶしぶ応じ、マッタク誠意が感じられないこと、謝罪の一言もなかったこと、などが問題になった。同社は、このほか、遺伝子組み換え成分を含む商品を販売した点でも、グリンピースと対立した。その中には、そうした商品を開発途上国にだけ使用し、他では使用しないという、ダブルスタンダードの問題も論議された。ネスレ側は全面的にこれを否定したが…。
それが今度はイタリアで再燃した。乳幼児用のミルクが、有害な物質で汚染されていたというのだ。ニッポンの新聞ではまだ、あまり取り上げていないようだが、イタリアではこのところ連日新聞紙上を賑わわせている。
最初はネスレ社もEUも無害だといっていたが、当局からイタリア全土で、回収せよという命令が下った。保健省のストラーチェ大臣はネスレ社を告訴すると言明した。また18ヶ月の女児を持つ両親は、ネスレ社に2500ユーロの賠償を請求する、など波紋は広がる一方である。グリンピースは保健相に、二度と再びこのような事件が起こらぬよう、EUの定めた化学物資に関する基準を厳守するよう、申し入れた模様。
ちなみに、ネスレ社の社是は、Good Food,Good Lifeで、社章は、「母の愛を象徴して鳥の巣」マークだというのだが…。
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