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活動報告(9)

メロウ倶楽部第2回講演会

皆さん、こんにちは。


 先日の講演会、好評でしたので要旨を別項にオアシスさんに纏めて戴きました。
 ご一読戴ければ幸いです。きっと明日からの生活に役立つところ大だと思います。


 ここでは概略のみをご紹介致します。


日時: 2001年9月29日(土曜日)

演題: 「現代生活の中の人間工学」

演者: 千葉大学名誉教授 菊池 安行 様


甲斐会長挨拶

人間工学、身近なような、しかしさて何をどう?と考えると極めて興味あるテーマです。
本日の先生をご紹介申し上げます
     1958年、東京大学文学部心理学科卒
     1963年、博士課程修了
     日本大学  医学部助手として第2解剖学教室に(1973年医学博士)
           更に千葉大学 工業意匠科へ
     1979年、人間工学初代教授
           現在 武蔵野女子大学人間工学教授
           現在 関係学会の会長・副会長・理事 歴任
         著書「未来の人間科学辞典」「お話し 人間工学」ほか多数


講演次第

 内容はオアシスさんの記録をお読み戴くとして、倶楽部総務担当・小池 達子幹事の感想を引用します。


 「何気なく利用していた器具や設備には、人間工学の立場から、利便性、快適 さが追求されていた事を知り、別な視点で物を見られる機会を与えて下さって 有り難うございました。
 でも、快適さは半面、人間本来の機能を退化させる結果ももたらすと言う 事なので、タダでさえ人間としての機能が退化に向かう我々シニアは、機能向 上にも心しなければと思いました。


 なお、質問も活発に出て、大変有意義な講演会でした。


 講演後の懇親会も、会員外の方のご参加で交歓の実が上がり、幹事さん他の 苦心の美酒美肴も手伝って、初回にも劣らない賑やかさでした。写真からその 辺の雰囲気を感じて戴ければ幸いです。


 いずれ多摩のけんさんのビデオも出来ると思いますが、既にtoshyさん のビデオでその辺の様子が分かりますので、ご覧いただければと思います。


         2001.10.05(金) 20:29 杉本 毅 (takeshi.sugimoto@nifty.ne.jp)


講演会&懇親会の模様


講演会-1


講演会-2


講演会-3


講演会-4


講演会-5


講演要旨


 今日は人間工学とは激変の中で如何に良く生きて行くか、、、についてお話しさせていただきます。


まず経歴ですが

  1. 人間工学の中で、私の学んだ心理学のからみは 環境とのインターフェイス(接点)で、人がどう受け止め 対応するかであります。

  2. 次ぎに 大脳生理学を時実教授のもとでやり、脳波の研究に進みました。即ち人間行動の変化(医学上の)を、助手として手伝いました。そして解剖へ。

  3. 心理→生理→解剖と進んで、物のエンドユーザーである人間にとって(お絵かき的でなく)果して良いものか?の追求で 千葉大学で工業デザイン(意匠)を勉強しました。  昭和54年、人間工学講座を開講致しました。
    「人間の特性を知る」上で、解剖は寸法に繋がっています。

 さて本論に入ります。  《スライドを数多く使用しての説明》
太古の人でも 石器に使う人の側に立って 寸法を考えていた跡が窺がえます。
〇動作は同一でも 環境が変わると人間にとって適性なのは???
  ヤカンから水を注ぐ→茶碗に、→洗面器に、→ビーカーに
  絶対にヤカン対洗面器がやり易い…ここにHUMAN ERRORの問題が出て
 きます。
〇航空機のコックピットの高度計
  三針計器で見る場合にエラーが多く出る。三針→二針→一針とエラーが減り、
 読み取り時間は短縮される。
  デジタル機器はエラー、時間とも1番良いが、他の問題が出て来る。
 で、一針の計器が採用された。
  見え方、見方で (スライドを多用して下記の説明があった。)
 ルビンの反転図形(盃とシルエット)、カニツァーの三角形、錯覚、仮現運動、
 運動視形態因子、色彩による認知等々
・ 人間と道具との接点が悪いと …つまみのインターフェイスの例
・ 水道・ガスなどのメーター …悪い例=各桁針での計器 から今はデジタル
 計器に。計器などの認知は数値でより読み取り易く、接続(ホースやケーブル)
 は太さや色合わせ方式になった。
・ 航空機のコックピット 操作計器がいっぱい 触覚で的確な操作を!も考え
 てある。
労働災害の構図―――――人間の作業能力が一番の問題
    注意現象の性質 イ、注意は選択的性質がある 
            ロ、注意は方向性を持っている
            ハ、注意は情報的性質がある
            ニ、注意は心身の活動水準の影響を受ける
            ホ、注意には波動、動揺がある。フラストレーション


 ハリンリッヒの法則
                    1   ………重大事故
顕在事故は潜在事故により予知できる   29   ………小事故
           ニアミス   300  ………ヒヤリ・ハット事故


人間はどうしてもミスをする―機械に対策をを考えさせる →人間性喪失・人間
不在(日本で年間 1万人弱の交通事故死者を8,000人にするには、20〜3
0年かかるとも云われているほどでミスを無くするのは難しい)


 では具体的な研究・考察の例をお話ししましょう。
環境・アメニティ ということで、地下鉄大江戸線での事例です。
キイワードは 快適・安全・健康に良く であります。


◎ 快適性と人間の関連
 居住性に絞っても、人が中に長時間いる場合の「居心地」「住み心地」や建物
の総合的効果としての良い 悪いを、また 構造・仕上げ・デザインなどで利便さ、
快適さをと云うことがアメニティであります。


地下鉄大江戸線は深度が深く、乗るまでに時間がかかる、乗り換えの不便などの
問題が多々あります。


出入り口の提案 (スライドで12〜13例 お見せ頂き 下記の説明があった)
サンクン(沈んでゆく)ガーデンによる出入り口 階段でなく幅広く スムーズ
な動きを!
 自然光採光、視界、眺望、抵抗感軽減、地上環境との連続性、地下施設の改良

 オープンカットで開口部を大きく、透明材利用…シースルー 屋根のない入り
口、屋根に透明材を、片持ち式屋根、平屋根透明ボルト組み合わせ、幅広く仕切
りのない階段、壁面を狭く、、いずれも自然に地上から地下への配慮を!の見地
からの提案です。


 コンコースの例―――オープンカット、屋外との連続、自然光、開放、視界、
眺望への配慮、地上環境との連続性、トップライトのある改札口で圧迫感軽減
などの提案を致しました。


 色々と述べてきましたが、締め括りとして、結論の出ていない問題ですが、、、
すべて 人間の利便性、快適性へ の方向に世の中は進んでいます。
あまりに快適性を求め、楽をすると、我々が長い時間をかけて進化・取得してき
た機能を退化させないかのか?の疑問・心配があります。
 汗をかいて あせもが出来て可哀想と、赤ちゃんを空調管理であまりにも大事
に育てると、汗腺の発達や調節に問題がでてきて、おとなになって暑さに弱―い
人間となり、さらにそれでもってスポイルされては何もなりません。


 求めて苦労、艱難辛苦をとはいかないまでも、進化の過程で得た能力を損ない、
失うことがないように考えて恩恵を受ける面を広げて行く必要があるのではない
でしょうか?


 温度環境一つとっても、同じ18度Cでも、暖かくも寒くも感じます。
 照明の問題----色温度
 感性の研究
メディカルエレクトロニクスが 生理学(ひいては細胞レベルでの)や心理学と
の関連でどう発展すべきか と、難しい問題であります。


講演後の質疑応答


 など、時間いっぱい活発な質問があり、34名の参加のもと、有意義で大盛況裡に講演の終了を見ました。



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