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[No.7048] 渋谷で会えるボッティチェリとルネッサンス 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2015/05/25(Mon) 10:05
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渋谷で会えるボッティチェリとルネッサンス
画像サイズ: 311×450 (86kB)
記憶がまだ鮮明な内に書き留めておこう。きのう(実は5月10日のこと)、久方ぶりにシブヤへ行った。ガラになく。

 今ちょうどBunkamuraのザ・ミュージアムで「ボッティチェリとルネッサンス」と銘打って絵画展をやっていたのだ。

 会期は来月末まであるのだが、来月はあっしなりに忙しくたぶん無理だろうということで、きょうは何とか時間を作って行ってみた。上野は割と行くのだが、渋谷はふだん全然行かないので全くの地理音痴である。それでも、何とか会場を探し当てた。

 道路に突っ立っていたガードマンは東急デパートの正面から入るようなこと云っていたが、隣接ビルの地下にあるので、脇の方から入った方が正解のようである。ま、本館の方のジュンク堂にも、多少用があったので、その意味では、正面でもよかったのだ。

 この展示はふつうの美術展とはちょっと違っていて、最初に出て来るのは絵画でなく、フィオリーノ金貨である。この財力あってこそイタリアの文化は花開いたのである。たぶんそう云いたかったので、絵画ではなく金貨を序章へ持ってきたのだろう。

 これは、本展企画者ルドヴィカ・セブレゴンディ氏のアイデアだろうと思う。日本でも、文化の花開いた時には、そうであったようにイタリアでも、奢侈令が出て、絵師までが影響を受けたそうだが、どこでも同じようなことが起こるものだ。なるほど絵の中の婦人が着ている服が質素になっていたりする。

 この展覧会は、ルネッサンス(イタリアではリナシメント)という時代を描くので、いきおい、ボッティチェリだけでなく、同時代の画家たちや彼の工房の絵なども出てきて、興味深かった。あっしはすでにフィレンツェで実際に「ヴィーナスの誕生」、「春」などは鑑賞済みだが、ここへきて、彼の作品も「ヴィーナス」だけではなかったことが、よく分かった。

 集中、一番迫力のあったのはやはり、何といっても、従来門外不出と云われていた1481年作の「受胎告知」ではなかったか。長辺がなんと、555センチもある。

 登場人物の位置関係だが、天使と聖母がこれほど離れているものは珍しいとも、思う。また、超有名なヴィーナスの誕生から、ヴィーナスだけ取り出したもの(工房作)が展示されていたが、あっしは、「誕生」に描かれた本物のヴィーナスより、このヴィーナスの顔の方が、どちらかといえば、好きだ。それには、さいきん本物の露出度があまりにも多く、見飽きたせいもあろう。美人も三日見れば、誰だって飽きる、ってか。(-_-;)それから、

 当時の嫁入り道具の鏡や、カッソーネ(婚礼用の長持ち)、出産盆という聞きなれない道具などもきっと、見学者の興味を引くに違いない。

 それから、当時ぜいたくを戒めたドミニカ派の僧、ジロラモ・サヴォナローラだが、あっしは焚刑に処せられたことしか知らなかったが、死後になってもその影響力は衰えず、彼を慕うものも数多かったことを知って、いささか驚いた。当のボッティチェリでさえ、晩年は彼の影響を受けて、作風が大きく変わっているというのだ。

 ボッティチェリのほかでも、クレディという画家は、サヴォナローラの信奉者であり、この画家では「ジャスミンの婦人」という油彩画が展示されている。

 額縁にもいろいろあり、「開廊の聖母」のは、上にコーニスというのか、半円形の部分が付いていて、説明では、この部分はチマーザと呼ぶようだ。ここに描かれたハトが、聖霊を表しているのだそうな。

 展覧会も、企画するものに依って大きく変わるので、なかなか勉強になる。当時の権力者メディチ家の紋章は、方々に出て来る。

 展示品はウッフィッツィのだけではなく、ヴァチカンやストラスブール、パリ、ワシントンなど、世界各地から集められており、この機会にぜひ観覧をお勧めする。
(終り)

 つけたり。この展覧会の会期は、6月28日までだが、有難いことに、夜間も開館しており、希望者は、午後6時半までに入館すればよい。このサービスを利用して、展覧会の方はいい加減に見て、その後、気の利いたレストランかなんかで、彼女とシブヤの夜を思いっきり楽しむとか、そんな怪しからん夢が膨らんできた。(^^♪

  下のサイトでも、作品のかなりの部分が見られるので、いちおう紹介して置く。
      ↓      ↓      
                               
  http://www.tomosha.com/mado/6232


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