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[No.7547] ボッティチェリ展を観る 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/26(Sat) 17:20
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ボッティチェリ展を観る
画像サイズ: 305×420 (73kB)
  やっぱりあっしの期待通りだった。去年の渋谷Bunkamuraにつづいて、今年もボッティチェリに会うことが出来、これ以上の幸せはない。あっしがこの画家と会った最初は、おそらく小学校のころと思う。あのころはもちろん,カラーなどはなく、モノクロ写真で我慢するしかなかった。さて、

 その展覧会だが、家の片付けに手間取り、上野に着いたの昼過ぎだった。金曜にもかかわらず、相変わらず人出は多かった。

 行きの電車の中でも読めるように、ちょうど数日まえ、 古書店で見つけた芸術新聞社の「ボッティチェリとリッピ」という、例のヴァザーリの「芸術家列伝」を下敷きにした、薄手の本を携行した。これは、ケッコウ役立った。

 会場には、さすがに「ヴィーナスの誕生」や「春」こそなかったが、「東方三博士の礼拝」は初見だし、素晴らしかった。ただ、作者を絵の中に描き込むのは誰もがやることで、べつにとやかくいうこともないが、一番目立つところに、全身像で出してあるのはいかがなものか。

 「美しきシモネッタの肖像」は丸紅が所蔵している由だが、色彩が実に鮮やかで、またモデルが美女なので眼福これに勝るものはないと云ってもいい。

 壁面には、世俗的なもの、宗教的なものと、色々あったが、ギリシャ神話に材を取った「パリスの審判」も面白かった。これは正にミスコンの元祖で、その優勝者に金のリンゴを授けるという話なので、あっしは前の人たちを押しのけ、そのリンゴを穴のあくほど見つめたが、そこらにいくらでも転がっているリンゴの質感が、マッタク感じられなかった。ま、これは金だから仕方ない。あと、リンゴの皮になにやらラテン語のようなものが、書きつけてあった。もしかしたら、このリンゴの賞味期限だったかもしれない。(^^♪

 あと、師のリッピ、ヴェロッキオの作品、弟子のフィリッピーノ・リッピの作品も、たくさんあった。あっしには、今まであまり馴染みのなかったポッライオーロというのも、珍しかった。また、メジチ家の家宝に、一つ一つ、ラテン語の字句が刻まれているのも、すぐ近くで見ることが出来た。

 画家の晩年をヴァザーリは、画業もほったらかしてサヴォナローラに肩入れしたため収入の道を断たれ極貧の生活をしていたなどと、書いているがこれは大うそで、死の4年前まで仕事をしていた形跡があるし、また貧しければ買えない筈の別荘まで買って、その、
契約書が残っているそうである。

 ヴァザーリの列伝に、間違いの多いことは、いまや常識である。

 あと、付け加えておきたいのは、「アペレスの誹謗」という作品で、この画家の作品としては非常に珍しい寓意画である。この構図が面白い。誹謗は無実の髪を掴んで、不正の前へ引きづって行く。不正の側には憎悪や無知や猜疑がおり、悔悟や真実は孤立している。

 古代ギリシャに、アペレスと云う画家があり、それを他の画家が王に誹謗した。誹謗されたアペレスは自分の潔白を、王に訴えるべくそれを画にして、王へ送った(アペレスの絵は現存しない)。

 同じテーマで、マンテンニャもデューラも描いているらしいので、機会があれば、ぜひ観てみたいものだ。

 会期  2016.1.16〜4.3
会場 東京都美術館 終わり


 


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