画像サイズ: 350×264 (28kB) | 6月23日イギリスでは、EUに留まるか、或いはEUから離脱するかの国民投票が行われ、離脱派が残留派をわずかに上回った。えらいことになったものである。
キャメロン首相は辞任を表明し、世界の金融市場は大混乱となった。日本では円が上昇し(102円)株式市場は1200円超の暴落となった(終値14,952円)。
24日のNYダウは600ドル以上の急落(17,400.75)世界の金融市場は大混乱である。
イギリスがEUを離脱した場合、世界経済にどんな影響を及ぼすかについては、これまで新聞等でいろいろなことが言われてきている。年金生活者の私としては、不謹慎ながら興味津々である。或いは世界大恐慌を見ることになるのか?それとも、人々の英知が、イギリスの決して褒められたものではない民主主義が引き起こす混乱を抑え込むことができるのか?ドイツのEUという色彩が一層濃くなった欧州の将来は?
私は2013年、金婚旅行で行ったイギリス旅行を思い出す。妻が体調を崩してツアー一行について行けなくなり、結果、一部旅程は二人だけの個人旅行のようになった。そこで、カンタベリーに大聖堂を見に行き、その足で鉄道路線の先にあるドーバーまで行った。ドーバー海峡の白い崖と、対岸にフランスを望みたかったのである。
イギリスはこの海峡があったがゆえに、色々な物語を紡ぎ、大陸ヨーロッパとは一味も二味も違った歴史を形作ってきた。フランス革命では多くの貴族がイギリスに逃れ、続く動乱では、ネルソン提督とウエリントン公爵がナポレオンの野望を封じ込めた。日の沈むことがなかった大英帝国は、英仏海峡の存在が大きな役割を担っていたといっても過言はないであろう。イギリスは、第一次大戦では、泥沼のフランス戦線から一線を画すことができ、第二次大戦では、ヒットラーの猛攻を退けて勝利した。
戦後のイギリスの退潮は、過去の栄光の歴史に照らすならば、人々に忸怩たる思いを抱かせて不思議ではない。今やEUの盟主となって日の出の勢いのドイツは、嘗って世界に大惨禍をもたらした元凶であった。またフランスは、イギリスの後ろ盾があって戦勝国となったようなものである。そんな思いが、今回の国民投票でEU離脱に投票した人々の気持ちの底にあったのではないか。
英仏海峡には、今は海底トンネルが開通して、人々の行き来はかつての比ではないであろう。イギリスの経済はEUからどれだけの恩恵を受けてきているか? 今回の投票結果が、EUからの単純な離脱ではなく、新しい協調関係を生み出す出発点になってほしいと私は思っている。
なお、両派の得票数は、離脱1,741万票、残留1,614万票であり、その差は僅差であった。それでも政策は、多数者側によってのみ決まる。これが民主主義なのか?!!
(2016.6.25) |