[No.7902]
セロひきのゴーシュ
投稿者:男爵
投稿日:2017/07/29(Sat) 16:26
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セロひきのゴーシュ 岩崎書店
http://www.iwasakishoten.co.jp/book/b241616.html
宮沢賢治の童話を読んでいて
あんがい知らないこと。
ゴーシュが頼まれて、野ねずみのこどもの病気をなおしてやる。
ゴーシュのセロの音楽のおかげで、うさぎもたぬきもみみずくも病気がなおった。
そこで、野ねずみのこどもをセロの穴から中に入れる。
だが、どのくらいの大きさの穴だったのだろう。
おやの野ねずみは入らないくらいの穴だったから、そう大きな穴ではなかった。
直径1〜2センチ ?
この本には、ほかにも
「化物丁場」や「フランドン農学校のぶた」などが載っている。
化物丁場
盛岡から橋場までの軽便鉄道橋場線の建設工事のできごと
(いまの田沢湖線の一部)
鉄道敷設(ふせつ)の工事中に土台に砂利を盛ってもたびたび崩れるので、工夫たちは化物丁場と呼んでいやがった。
解説文を書いている堀尾青史によるとそれは洪積台地で、下半分が砂や礫、上半分が火山灰なので、水がよくたまり、くずれることが多い。
いまなら基礎のほうまでコンクリートを打ったり、地盤の置き換えなど建設工法の対応があろうが、なにしろ昭和初期のことだから。
宮沢賢治は、この話のはじめのほうで、大雨が降って一関の狐禅寺では北上川の水位が一丈六尺(約4.8メートル)増したとか、宮城県の品井沼(現在の鹿島台)の岸では稲が四日も泥をかぶっていると述べている。
北上川の洪水対策は今も続いている。
北上川五大ダム 一関の遊水地 北上川下流の分流(旧北上川と新北上川)
フランドン農学校のぶた
学生のせりふ「ぶたはふしぎだ。水やスリッパやわらをたべて、上等の脂肪や肉をこしらえる。ぶたはたとえれば一種の触媒だ。白金みたいなものだ」を聞いて内心得意になったぶた。
だが、農学校の畜産の先生に毎日するどい目で見られていると、だんだん不安になってくる。
そのうちとうとう校長から責められて、死亡承諾書に右肢で印をおさなくてはならなくなる。 涙のヨークシャイヤ
育てられた恩を返さないといけないのだぞと無理無理死亡承諾書にサインをさせられたぶた ぶた肉を食べるわれわれは、ぶたのかなしみに気づかないといけないのだ。
そういうことで、ベジタリアンになった宮沢賢治。
しかし、あるとき「どうも肉を食べないと、体に力が入らない。やっぱり肉を食べよう。とんかつはおいしかった」と言ったそうな。
これを何かの本で読んだことがある。 生きるわれわれ人間は、やはり原罪があるのだろうか。