川端康成のこの小説は何度読んでもいい。 たびたび映画にもなった。
自伝的な内容で 川端はこの旅をして元気になったらしい。
伊豆の踊子(1933年、松竹、五所平之助監督、田中絹代・大日方傳主演、白黒・サイレント映画) 伊豆の踊子(1954年、松竹、野村芳太郎監督、美空ひばり・石濱朗主演、白黒映画) 伊豆の踊子(1960年、松竹、川頭義郎監督、鰐淵晴子・津川雅彦主演、カラー映画) 伊豆の踊子(1963年、日活、西河克己監督、吉永小百合・高橋英樹主演、カラー映画) 伊豆の踊子(1967年、東宝、恩地日出夫監督、内藤洋子・黒沢年男主演、カラー映画) 伊豆の踊子(1974年、東宝、西河克己監督、山口百恵・三浦友和主演、カラー映画)
彼らを送り出して来た婆さんに聞いた。 「あの芸人は今夜どこで泊まるんでしょう。」 「あんな者、どこで泊まるやらわかるものでございますか、旦那様。お客があればあり次第、どこにだって泊まるんでございますよ。今夜の宿のあてなんぞございますものか。」
「旦那さま、旦那さま。」と叫びながら婆さんが追っかけて来た。 「こんなにいただいてはもったいのうございます。申しわけございません。」 そして私のカバンを抱きかかえて渡そうとせずに、いくら断わってもその辺まで送ると言って承知しなかった。一町ばかりもちょこちょこついて来て、同じことを繰り返していた。
私は五十銭銀貨を一枚置いただけだったので、痛く驚いて涙がこぼれそうに感じているのだったが、踊子に早く追いつきたいものだから、婆さんのよろよろした足取りが迷惑でもあった。
旅芸人は入るなという立札 やはり旅芸人の身分は低かった。 江戸時代の河原乞食や非人を思わせる。
茶屋の婆さんから見て、旅芸人は人以下の存在 主人公の一高生は雲の上の人に見えたのだろうか。
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