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[No.406] 伊豆の踊子 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/04(Sun) 07:28
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川端康成のこの小説は何度読んでもいい。
たびたび映画にもなった。

自伝的な内容で
川端はこの旅をして元気になったらしい。

 伊豆の踊子(1933年、松竹、五所平之助監督、田中絹代・大日方傳主演、白黒・サイレント映画)
伊豆の踊子(1954年、松竹、野村芳太郎監督、美空ひばり・石濱朗主演、白黒映画)
伊豆の踊子(1960年、松竹、川頭義郎監督、鰐淵晴子・津川雅彦主演、カラー映画)
伊豆の踊子(1963年、日活、西河克己監督、吉永小百合・高橋英樹主演、カラー映画)
伊豆の踊子(1967年、東宝、恩地日出夫監督、内藤洋子・黒沢年男主演、カラー映画)
伊豆の踊子(1974年、東宝、西河克己監督、山口百恵・三浦友和主演、カラー映画)

彼らを送り出して来た婆さんに聞いた。
「あの芸人は今夜どこで泊まるんでしょう。」
「あんな者、どこで泊まるやらわかるものでございますか、旦那様。お客があればあり次第、どこにだって泊まるんでございますよ。今夜の宿のあてなんぞございますものか。」

「旦那さま、旦那さま。」と叫びながら婆さんが追っかけて来た。
「こんなにいただいてはもったいのうございます。申しわけございません。」
そして私のカバンを抱きかかえて渡そうとせずに、いくら断わってもその辺まで送ると言って承知しなかった。一町ばかりもちょこちょこついて来て、同じことを繰り返していた。

私は五十銭銀貨を一枚置いただけだったので、痛く驚いて涙がこぼれそうに感じているのだったが、踊子に早く追いつきたいものだから、婆さんのよろよろした足取りが迷惑でもあった。

旅芸人は入るなという立札
やはり旅芸人の身分は低かった。
江戸時代の河原乞食や非人を思わせる。

茶屋の婆さんから見て、旅芸人は人以下の存在
主人公の一高生は雲の上の人に見えたのだろうか。