[No.676]
Re: 千年震災
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/20(Tue) 19:01
[関連記事] |
> > 都司嘉宣:千年震災
この本には歴史上有名な地震津波の被害を詳しく述べていますが
ほかでも扱ってきたので省略します。
なるべく違う視点での話題を紹介します。
越後三条地震で良寛さんが書いた手紙
良寛71歳の文政11(1828)年、越後三条地震は起きた。
良寛が当時住んでいた草庵は無事だったが、長岡市から三条市にかけて
中越の平野部は震度6強から7の強い地震に襲われ、約1400人の死者が出た。
その地震の約1カ月あと、良寛が重大被災地のひとつとなった長岡市の友人
山田杜皐(とこう)宛の手紙が、出雲崎町の良寛記念館に遺されている。
(原文は省略) 読みたい方は上記の本をお読みください。
現代語訳
「地震は実に大変な災害です。私の住居は無事で、親類に死者がいなかったのは
幸いでした。思いがけない災害から生きながらえてみると(あまりの被害に)
心に穴が開いたように気落ちもしてしまいます。
しかし、災害が起きたときは、すなおに自然災害に遭い、死ぬときは死んでしまえばいい。こう考えるのが、災害に打ち勝つ手段なのです」
この最後の部分「災害が起きたときは、すなおに遭い、死ぬときは死んでしまえばいい」とは、実に大胆な考え方である。
1995年の阪神大震災では、多くの人が愛する人の生命や家、財産などを失った
大きな悲しみで、がれきと焼け跡ばかりになった街の中、気力も何もなくしてしまった。
しかし良寛は、「災害といえども、長い自然の流れのほんの一場面。
じたばたしたところで人間なんてちっぽけなものさ ーーー と考えることにしよう」
というのである。
これに対して、「大災害の最中に、そんな呑気なことを言っていられるか」とか
「財産をほとんど持っていない良寛だから、そんなことが言えるんだ」という
反論がただちに返ってきそうだ。
そのことは重々承知の上で、この文を浅く理解して誤解することなく、
良寛の真意に静かに耳を傾けたいと思う。
そう著者は述べている。
(参考文献 加藤 僖一編:良寛の名品百選、考古堂書店)
災害にあったら素直に受け止めよう、死ぬならそれも受け入れよう
という考え方は、実はキリスト教関係者の言葉にもみられる。
それも一つの考え方なのかもしれない。