動物とのふれあい 
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[No.276] 野生動物の楽園と化した村 投稿者:男爵  投稿日:2013/04/17(Wed) 19:57
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野生動物の楽園と化した村

人のいなくなった村は静かだ。

クルマが空気を切る音、タイヤが路面をこする音。
人がいればするはずの音がどこからも聞こえない。

そんなとき、動くものが見えるとすると、たいてい野生の動物だ。

山道を運転していたときのことだ。
道ばたに大きな柿の木が見えた。

ふと、気づいた。柿の木の根元に、灰毛の老人が座っている。
道路のすぐ横に後ろ姿が見えた。落ちた実を拾って口に運んでいる。一体誰だろう。
車が通り過ぎる瞬間、彼が振り向いた。目が合った。顔が赤い。
ニホンザルだった。

畑にも、イノシシはよくいた。ジャガイモかダイコンか、村人が残していった作物を掘り起こして食っていた。
彼らはサルよりも剛胆なようで、車が近づいても逃げない。


聞き覚えのある話だった。
チェルノブイリ原発の周囲30キロの立ち入り禁止地帯がそうだ。
動物と野鳥の楽園になっているらしい。
北朝鮮と韓国の国境、両側幅2キロの非武装地帯へ行ったときも同じ話を聞いた。
人間が足を踏み入れることのなくなった領域は、野生動物の楽園になっている。

池に睡蓮が咲いているのを見つけて、カメラを手に近づいたとき
ぼちゃん、ぼちゃんと水音がする。
足を止め、望遠レンズでのぞくと、葉の上にでっかいカエルが座っていた。

   烏賀陽弘道:福島飯舘村の四季  双葉社  (2012.6)


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