小室直樹・大越俊夫:人をつくる教育 国をつくる教育
吉田松陰のよいところは、すべての人の長所を見つけ、それを伸ばし、高める教育をしたこと。 何が正しくて何が正しくないかを教えるのが真の教育である。 「いかに生きるべきか」「いかに死ぬべきか」を教える教育が必要なのに、現在の教育にはそれが欠けている。 不登校、中退した若者たちは、学校を否定しただけではなく、たとえ無意識にしても、大人のつくった戦後社会を否定したのだ。 現在の腐敗した世の中を本能的に見抜き、それを拒絶するのも立派な能力である。
戦後の日本人は、皆殺しにされず、奴隷にされなかったが、アメリカの思惑や、アメリカの命令を受けた左翼主義者や日教組のせいで、日本人の精神はここまで骨抜きにされた。 民族に対する誇りや、国家に対する矜持も失った我々は、民族の精神的支柱と日本人に対する連帯感を失い、アノミーに陥ってしまった。 アノミーとは連帯感のない状態。 自分の能力や財力の半分は、自分のため家族のために使う。しかし、残りの半分は、世のため人のために使うのだ、という気持ちを持つことが大切である。
アノミーにならないよう、連帯感を求めて、人は努力する。 連帯こそが人間の生活の基礎である。 イスラム教徒には絶大な戒律がある。一緒に一度は聖地メッカに巡礼にいくという最高の戒律がある。 急に金持ちになって自殺する人。以前の友だちともつきあえず、金持ちの仲間にも入れてもらえず、連帯感をもつことができなくなり自殺した。 安保反対、大学紛争は実に連帯感がほしいから。つまりアノミーが原因。 (ずいぶん大胆な仮説)
ヨーロッパの大学は、教授のもとに 学びたい者が集まってできた。 だから学問の自由とか、研究の自由があった。 権力の保護を受けない大学は大変貧乏だった。
ハーバード大学は1636年にできた。 アメリカが国家としては、まだ影も形もないころだった。 欧米の大学は国家よりずっと長い。
日本の場合、まず軍のエリート養成機関として陸軍士官学校と海軍兵学校を作った。 それから、明治政府が国家のための役人を作る目的で帝国大学を作った。
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子どもの長所や適正を見て親切に助言するという教育を、今はあまりしない。 今の日本では、受験勉強によって没個性のマニュアル人間を作っている。 そういう人間は、変化する時代についていけない。 ある時期に最も理想とされたものを、そのまま突き進めていくと ある時期から、その理想的だったものが理想的でなくなっていき、ついには 最低のものになってしまう。 それはなぜなのかと、その分岐点を研究するのが社会学の醍醐味である。
子どもが進みたいという道を進ませてやり、好きでやりたいということを 一生懸命やらせるのがよい。
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