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[No.15642] Re: 里中満智子:タマタマ女 投稿者:男爵  投稿日:2010/08/18(Wed) 22:15
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> 里中満智子は漫画家
> 現在、持統天皇を主人公にした「天上の虹」を執筆中 。

この本の中で
釣り漫画でおなじみの矢口高雄のふるさと、秋田県増田町に
「まんが美術館」ができあがったので、そのオープニングに他の漫画家たちと一緒に行ってきたことを書いている。 (設立1995年当時は増田町であったが、今は合併の結果横手市となった)
オープニングにあたって「手塚治虫・矢口高雄二人展」を開催した。
故手塚治虫の原画、仕事の足跡、矢口高雄の全仕事の内容が展示された。
常設展として、漫画家六十人(その中には著者里中満智子も入っている)の原画と、韓国や台湾などアジアの漫画家たちの原画も展示された。

この本で著者が言いたいのは、漫画家の妻のことである。
オープニングセレモニーには、手塚夫人もかけつけた。
手塚夫人は、「リボンの騎士」のサファイアを思わせる美人で、上品でスマートで
「私は手塚を尊敬し、愛している」というオーラのようなものが、いつも全身からたちのぼっている感じを受けて、夫人に会うと著者はいつも感動する。

漫画家の奥様といっても、当然だがいろんな人がいる。
夫人たちがみな「漫画家の理解者」であってくれれば(漫画家の里中満智子も)うれしい。
だから手塚夫人や矢口夫人を見ていると、ほっとするし、うれしくなる。
でも中には「私は夫の作品なんて興味がないわ。わけのわからない不規則な生活をして、こっちだって苦労するわ。収入が安定していれば、たいていのことは我慢するけれど...」という人もいないわけではない。

漫画家が亡くなると、原稿の山が残る。それは将来の漫画界にとって貴重な宝物になるし、本人の創作の歴史である。
しかし、「どうせ私にはわからない世界だから」と、ゴミあつかいにしたり、いっさい管理せずほったらかしにしておく未亡人もいる。

夫と妻の関係がうまくいっていれば、自然と妻は夫の「歴史」を大切にするようになる。妻に「私には関係ない」と言わせてしまう責任は、夫の愛し方に問題があったせいかもしれない。
愛がなくなれば、夫婦であるが故に他人同士以上にギスギスしてしまう。夫が亡くなれば「捨ててしまって、せいせいした」と言われる運命になる原稿の行方が気にかかる。

   ーーーー

このあと
夫が浮気を繰りかえしても、仕事を大切に考える妻もいる。
夫は浮気せず、仕事熱心で、奥さん一筋なんだが、そういう夫の仕事に全然理解を示さない妻もいる。
互いにさめた関係でも、仕事の内容への尊敬の念をいだく妻もいる。
アツアツなんだけど「うちの人、こんなの描いていたの?」という妻もいる。
一口に「愛があれば」「愛がないから」と言えないのが「夫の仕事に対する妻の態度」なのであると結んでいる。

考えてみると太宰治の妻も、他の女と心中され、自分は子どもと残されて
夫の性格破綻者の存在は救いようがないと思っていただろうが、作品については
世間の批評家の批評に対して、太宰のオリジナリティは認めていた。
資料をただ写すだけではなく、太宰の感性による付加的なもの、創作性の存在を主張していた。

また話は変わるが
漫画家が亡くなると、その漫画は永久におしまいになってしまい続きなど考えられないはずだが
生前に漫画家が自分の後継者を指名しておくと、その漫画は生き続ける。
指名された漫画家が後継者として続きを描くのである。
そり例は「のらくろ」の田川水泡に見られる。
同様に、ドラえもんの作者が亡くなったが、アシスタントが漫画家の遺志を継いでドラえもんは不滅である。
昨年亡くなったクレヨンしんちゃんも、遺族と出版社の合意で、作品は受け継ぐ漫画家の手で続きが描かれるという。


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