[No.15553]
利根川進:私の脳科学講義
投稿者:男爵
投稿日:2010/07/26(Mon) 16:33
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岩波新書755
抗体の多様性の謎を解明して1987年にノーベル賞を受賞した著者は
いま世界の脳研究をリードする。
・ひじょうに楽観的な人がサイエンスに向いている。
いろいろむずかしいことがあってもかんたんに滅入らない人、あきらめない人。
・それから、プライオリティがしっかりしていること。
つらいことがあったときに、やめようと思うか。それでもがんばって成し遂げようと思うか。
・研究成果については人によって意見が分かれる。わたしが尊敬している科学者は、わたしがある評価をもった成果には、だいたい同じような評価をする。ところが、わたしがあまり尊敬しない科学者とは一致しないことが多い。
それは聞く前からわかっている。彼の価値観とわたしの価値観が違うからである。
(文科系なら一層、こういう傾向は強いだろう。文科系では、個人によって評価がまちまち、評価が不安定である。理科系は文科系よりは客観的に評価される)
・いい科学者の弟子たちがいい科学者になる確率が高いのは、共通した価値観を持っていて、何が重要で何が重要でないかということについての判断が遺伝しているからだと思う。それは社会的な意味での遺伝であるが。
・まわりの意見をあまりかんたんに受け入れてしまうような人は、科学者には向かないだろう。
自分で考えることがほんとうに好きじゃないと、いい科学者にはなれない。
考えるというのは、なかなかしんどいことで、みんながやっているように適当にやっておけばいいという人は、いい科学者にはならないだろう。