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[No.16215] 朝鮮通信使がやってくる 投稿者:男爵  投稿日:2010/12/04(Sat) 19:34
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小西聖一:朝鮮通信使がやってくる、理論社 2009

子ども向きの本

朝鮮通信使の通信の意味は現代の意味と少し違う。
「信」には「便り」のほかに「誠」「あざむかない」「うたがわない」という意味がある。信用や信頼の「信」である。
朝鮮通信使の「通信」とは、相手をあざむかない、うたがわない、誠の気持ちを通わせるという意味である。

正しい通信の意味を最も理解して実践しようとしたのが、雨森芳洲(あめのもり ほうしゅう)だった。

日本と朝鮮とは
交隣といわれる関係で結ばれ 原則的には対等な関係であった。

戦国時代まで、日本から朝鮮へ渡る者は、
将軍(足利将軍)や有名大名(大内氏、細川氏、畠山氏)の限られた者を
のぞいて 、すべて宗(そう)氏が発行した渡航証を持参しなければならなかった。

16世紀になると朝鮮へ渡るものは対馬の者か、宗氏から特に許された者だけ
という状態になった。
江戸時代にはいる前に、宗(そう)氏による日朝関係の独占的な体制ができあがっていた。

当時の国際用語は漢文であった。
このため対馬藩の外交文書も外交僧によってつくられていた。

だが、秀吉による2度の朝鮮出兵による侵略は、日朝間の国交断絶となって
朝鮮との貿易で生計をたてていた対馬にとって、まさに死活問題であった。
それゆえ、対馬藩は何度も朝鮮に使者を派遣し講話の糸口をつかもうと努力した。
また家康も善隣外交政策をとったので、宗氏の講和路線を支持した。

努力の結果、朝鮮通信使は再開された。
そのときの対馬藩主は宗義智(そうよしとも)、家老柳川調信(やながわしげのぶ)、外交僧は景轍玄蘇(けいてつげんそ)だった。
この時の外交僧玄蘇にお供をしていたのが17歳の規伯玄方(きはくげんぼう)
であった。

このときすでに家康の国書の偽造という巧みな外交が行われた。
朝鮮王朝と家康とで、講和が成立し、国交が正常にもどるための条件として
朝鮮は難問を2つ要求した。
1つ 秀吉侵略の時に
朝鮮国王の墓を荒らした犯人を縛送してこい。
もう1つ 家康のほうから先に朝鮮国王へ国書を送るように
(従来の慣習ではまず朝鮮から使者が出向いた)

対馬は困って
最初の課題については
対馬島内にいた罪人2人を、犯陵賊の首謀者にしたてあげて
縛送した。
(彼らは朝鮮で、ただちに処刑されたという)

後の課題は
当時の外交上の慣習として相手方への恭順を意味する
先に国書を差し出す行為なので、
対馬は幕府に内密に
国書を偽造した。

国書偽造は対馬では以前から日朝関係を独占していたので
これまでにも何度か行っていた。
また玄蘇という選任の外交僧を召しかかえていたので作業としては難しい
ものでなかった。
家康の国書には日本国王の印が押されていたという。

1611年に玄蘇が75歳で亡くなってから
若い24歳の弟子玄方は正外交官になった。

あまり若すぎるので
それ相当の僧位を得るため
京都で半年の間に平僧から五山の住持僧になるというスピード出世をした。
それは宗氏の関係者に手を回した政治力もあったようである。

しかし、玄方が京都にいっている時、対馬で
宗氏の家老柳川氏が
正式に朝鮮への使者として認められ
彼らが
外交文書作成
度重なる国書偽造などの仕事をした。

柳川氏三代目柳川調興(やながわしげおき)は江戸に生まれ、
家康・秀忠・家光の側近として仕え、自らは一度も朝鮮へ渡ることはなかった。
家光らにかわいがられ、しだいに主である宗義成(よしなり)を軽んじるようになっていった。

つまりお家騒動になってしまったのである。
対馬の宗氏のもとで
自分たちこそ新しい日朝関係の主役をと願う柳川調興が
幕府の取り調べの時に
おおそれながら
対馬は国書改ざんをやってきました
と訴えた。

幕府の結論は結局
喧嘩両成敗

長い間の国書偽造は悪いこと
しかし日朝外交の功績も認められる。

訴えた柳川調興も
外交僧玄方も
遠くみちのくに流された。
柳川は弘前に流され、そこで一生を終わる。
玄方も盛岡に流罪となったが、こちらは文化人として藩主から大歓迎を受けた。

玄方は罪をはじて盛岡では
無方あるいは方と呼ばせたが
いつしか盛岡では
方長老と呼んだ。

宗義成は一族の罪を一身に引き受けた
玄方のことを感謝し心配して
幕府に嘆願書を送り続け
やっと24年たって玄方は許され
大阪で弟子たちに囲まれ一生を終わった。

  (他の本での知識も少し加えました)


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