戦前の時代、と言うより私が五-六歳の頃です。
其の頃、肺結核は肺病と言われ伝染が非常に怖れられて居りました。 或る時、親戚の青年を皆で見舞いに行く事になりました。
同行数人が毒消しに紙巻煙草を廻し吸いしました。「朝日」と言う 御座敷煙草で吸い口が付き、其処を押し潰して平らにして着火です。 当時「朝日」は料亭での必需銘柄でした。 お前も吸いなさい、と言われ一口吸って無事見舞いを済ましました。
成年して就職した貿易屋が「ゲルベゾルテ」の輸入元でした。 先輩に強制された一服は味、香り共に正に最高の煙草でした。 あの味を懐かしがる人々に良く会いますが製造元が廃業です。
WHOに忠実な日本医師会(白い巨塔)が禁煙に之勤めて居ります。
変蝠林(1917-) 、
|