大正の部屋  ー温故知新ー 
[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

[No.760] Re: 大正人の責任。 投稿者:不虻  投稿日:2008/10/19(Sun) 18:11
[関連記事

変蝠林さん  御無沙汰しています。

> 此処で沈黙して居ては、却って無責任を免れ得ません。

 貴兄に次ぐような大正人でありながら、なかなか書き込みも出来ず、
申し訳ありません。
 仰るとおり、終戦直後の東京の凄まじい生活など、もう今の若い人には
想像もつかないでしょう。

 私は昭和20年9月20日に復員、暫く郷里で呆然と日を送っていまし
たが、12月に虎ノ門にある勤め先に復帰しました。目黒区月光町で焼け
残った友人の家に泊めて貰い、そこから通いました。

 先ずは乗り物。窓硝子が割れてしまって寒風が容赦なく吹き込む省線
(今のJAのこと)で目黒から新橋までぎゅうぎゅう詰めで。

 新橋駅周辺は食べ物屋の闇市。烏賊の丸煮などぷんぷん良い臭いを
させているが、一匹十円、またラッキーストライクやキャメルなどの
アメリカ煙草が一個30円、しかし月給150円ではとても手が出ない。

 毎晩、勤めから戻ると、先ず虱取り。下着から4匹見つけ出して
ゾッとする。

 渋谷駅など、浮浪の戦災孤児が倒れている。物憂げに身体のどの部分も
動かさず、ただ空虚な瞳がじっと地面を見つめている。

 電車、街、勤め先、凡てが阿鼻叫喚である。怒声、悲鳴、叫喚、耳に
入って来るのは惟。倦怠、不潔、社会の不公平、雑踏、怒気、焦燥、卑屈
不倫、怠惰…………目に入り、身に感ずるこれであった。

そして遂に私は疥癬に罹り、空しく郷里へ帰りました。


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 返信フォーム (この記事に返信する場合は下記フォームから投稿して下さい)
おなまえ※必須
文字色
書込暗証番号(必須 半角で7080を入力)
Eメール(必須 非公開を推奨) 公開   非公開
タイトル sage
URL
メッセージ  手動改行 強制改行 図表モード
画像File (←100kB程度まで)
暗証キー (英数字で8文字以内)
プレビュー   

- 以下のフォームから自分の投稿記事を削除することができます -
- 自分の投稿記事に返信(レス)が付いている場合は削除をご遠慮ください -

処理 記事No 暗証キー