もう一度読みたい 読んでもらいたい ジャングル大帝 それが見つからなかったので 別の機会に譲ることにして......
今回は里中満智子の「天上の虹」です。 これは持統天皇の物語なのです。 20巻2007年2月に出てしばらく間があきました。 ようやく2009年12月に21巻が出ました。
作者は登場人物の心を大切にしています。 後から見ると不道徳なことをしたとされる登場人物も 本人の立場に立てばやむを得なかったと読者は同情できるように描いています。 とくに恋や愛を大切にしたヒロインたちの気持ちを丁寧に描いています。
持統天皇も人の親、わが子を次期天皇にしようと策をめぐらします。 そんななかで非協力的な者たちは、たとえ身分が高くても 世の中の秩序を乱すもの、天下国家のために 厳しく処罰することも遠慮しません。藤原鎌足の息子史はいつも持統天皇に協力してきた。絶対裏切らなかった。
大津皇子はそういうわけで配慮を欠いた行動をとったため命をなくします。 あの「古事記」を書いた太安麻呂(多安麻呂)は、なんと大津皇子の子供で ひそかに育てられ、大津皇子の妹大伯皇女から父のことを教えられます。 もちろん、これは学会の定説ではなく、作者の考えた説なのですが。
作者は歴史上の登場人物を描くときは、その人物を主人公にすると 主人公の立場で描くので、たとえばAとBとが歴史上ではライバルとすると 後世の歴史では、どちらかが正義で、残りのほうは悪ということになるのが普通ですが この作者の作品では、Aが主人公ではAはあくまで正しく あるいはBが主人公の作品ではBが正義の人と描いています。 それは矛盾ではないかと思うのは読者の勝手で この作者のように描くのが、本当の歴史なのかもしれません。
これから長屋王の悲劇の話が起こると思いますが すでに作者によって描かれた長屋王の悲劇の作品では、長屋王は 皇室の伝統を守るため、当時のしきたりを変えまいとして 藤原氏たちの陰謀のため悲劇な最後をおくっています。
持統天皇も多安麻呂も火葬です。日本で最初に火葬されたのは僧道昭です。道昭は唐に渡り三蔵法師の弟子となったのでした。
|