[No.314]
家にかえれない
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投稿日:2010/11/26(Fri) 21:37
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ナップザックを買いたいと思って出かけた。
有名店へ入ると店主がすぐ寄ってきた。私はそばに来られると弱い。たいていは断れない。ザックは14,000円となっていた。
「消費税をサービスします」
と店主。私の財布には12,000円くらいしかない。あとは小銭。ぐずぐずとするのを見て店主は、
「1割おまけして、13,230円にします」
と言った。小銭がいくらあるかわからないが、足りそうになかった。
車から降りるときに、夫から
「お金はあるか。持っているか。だいじょうぶか」
と、くどく念を押されたのだ。
「そんな高いの買わないからだいじょうぶ」
と別れたのだ。お金をもらっておけばよかった。昼の食事代を出さなければよかった、と思ってもあとの祭りだった。
「いくらお持ちですか」
と言いながら、台の上にお金を出すようにというしぐさをした。私は釣られて、持ち合わせを全部出した。1万円札1枚、千円札2枚、5百円玉1枚、百円玉5枚、十円玉11枚、5円玉3枚、一円玉18枚で、百円足りなかった。店主は数えてくれながら、
「13,130円にしておきましょう」
と言った。それでも儲かるんだなと、心の中で思いながら、
「すみません。ありがとうございます」
と私はていねいに頭を下げていた。客なのにおかしなものと、心のどこかで思いながら。
お金を全部出してしまって、財布の中には一円玉が13枚、帰りの電車賃がないと思ったが言えなかった。私は困ったことになったと思った。
外へ出て「どうしよう、どうしよう」と考えていたとき、デパートの商品券が4,000円分あることに気づく。それで買い物をしてお釣をもらい帰ることにした。野菜を1,646円買った。そんなことでやっと帰ってこられた。
商品券がなかったら、以前やったことがある交番か、警察に行ってお金を借りたのかと?
呑気な私のひやっと事故です。