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以上はかなり古い話だが、最近でもこうした趣味は細々とつづいている。たとえば、買った本に挟まれているものに注目している。短冊形のいわゆる『栞』には、なかなか捨てがたいものがある。美術館のなどは、絵も非常に美しいがひっくり返すと、割引入場料などが書いてあり、そのまま入場券(引換券)として通用するものもある。仏像展などの場合も、割引券として使うよりそのまま『my栞』として、そばにはべらせ、日がな一日、眺めていたいような、そんな素晴らしい出来のものもある。
また、古書店で買った本の場合だったが、たまには、こういう面白いことも起こる。たまたま、本の間に、東京ディズニーランドの入場券が挟まっていたのだ。捨てようかと思ったが、なんとなく仕舞っておいた。ところが、幾日も経たぬうち、今度は別の店で買った古書の間に、ディズニーランド・パリの入場券が挟まっていたのだ。
あっしは、ディズニーランドと名の付くものは、自慢ではないが、どこも紋をくぐったことがない。それが期せずして、入場券が一遍に2種類も転がり込んでくるとは!
次に報告しようと思うのは、ある分野の研究で名高い故人の思い出のために刊行された本(著名な出版社から出ている)である。発行者としては、故人の御子息の名が奥付にあった。そこまでは普通だが、そのあとは少々違っていた。
まず、これは献呈本だった。ご子息が親戚、知人、恩人などに贈呈したものの一部と思う。マジックのようなもので、見返しの裏に贈呈先の名前、日付、さらに自分の名などが書きつけてある。定価が数千円もするので、受け取った人が、何かのっぴきならぬ事情で手放したのかも知れない。
さらに不思議なのは、本を開けると、とびらと序文の間に、ちいさな紙片が2枚挟まれていたこと。一枚目は喪中ハガキで、某氏が○月○日に死去したこと、同書を上記書肆から刊行したお知らせなどが、印刷されていた。もう一枚は、出版社からのもので、故人の全11巻にもおよぶ著作集の案内で、これには各巻の値段まで明記してあった。
普通、贈呈本には、こうしたものは入れないような気もするが…。これで終わりかと思ったら、序文のあたりに、なんと御子息の名刺までが挟まれていた。
後で考えたのだが、こういろいろなものが挟まっているところから察すると、これはもしかして、この贈呈は実際には行われず、途中で中止されたのかも知れない。本当に贈呈するなら、あらかじめ外しておいた方がいいようなものまでが、含まれているからである。
だが、研究者、その方面の学生などには、ケッコウ役立ちそうな気もする。というのは、故人の著、訳書、論文などが、詳しい表にして列挙してあるからだ。もうひとつ、付け加えるとすれば、この故人の墓というのが、あっしもその名を聞いたことがある、そう遠くないところにあるらしいことが分かったことである。
さて、話変わって、名刺箱も、お宝発見の宝庫である。それがもしメロウの物故者なら、名刺のハンドルを眺めるたびに、故人の思い出が次々によみがえって来る。
どこで貰ったか、もう記憶がないが、箱の中には、こういうのもあった。表にはある旅行社の名があり、ひっくり返してみると、のっけから「1200枚以上の画像と詳細な説明でチュニジアを紹介中 訪問予定者にはメールで詳細なアドバイスをいたします」とある。
ISの襲撃で二人の日本人が犠牲になってまだ日が浅いので、チュニジアとかチュニスと聞くと、思わずぎくっとする。それから、 むかし、テレホンカードの収集が流行ったことがあったが、ケイタイの普及でカードを使って電話を掛ける人がいなくなり、テレカという愛称で一時世間に存在感を示したこともあったのに、世人から次第に忘れられていった。当時は外国でもテレカを集めることが流行し、ポルトガルでは、たまたまバスで同席した人と、カードの交換をしたことさえあった。やっぱり、外国のものは誰にも珍しいのであろう。
いま、一時期ほどではないが、切手の収集が、またまた流行り出したと聞く。これも、何かひとつテーマを決めてやったら、ケッコウ面白いかも知れぬ。ドローンや何かと違って、値も張らないし、場所も取らないし、やり方次第で、資金もそう要らないかも知れない。もし、それが高価なもので手に余れば、買わずに趣味の雑誌などで見るだけでもよい。こうした雑誌は説明が詳しく、ベンキョーにもなる。
もちろん、切手収集には、多少の基礎知識が必要になる。関連書や専門雑誌などが、参考になるだろう。その内、自分のテーマを決めて、ぼつぼつ始めれば、仲間もでき、楽しみが増える。あっしは、テーマとしては船や飛行機がいいかな、と思っている。特定の国のものを集めてもいい。ブータンなどは、意外と先端的な技術を駆使した特殊切手などを発行したりしているようだ。
変わったテーマでは、戦争中の愛国切手などもあるようだ。愛国切手というのは日本初の、寄付金付き切手だそうだ。
★ 本のレアものについて。ふつう枠物語として有名な「デカメロン」なら、うちの書架にもあるよ、という方は割に多いと思うが、ジャンバッティスタ・バジーレの『ペンタメローネ』〔五日物語〕復刻版をお持ちの方は、少なかろうと思う。ちなみに、定価を聞けば大抵の方はビックリされるだろう。300ページ余の本書は、定価35000円である。もちろん、あっしはビンボー人なので、その10分の一くらいで入手した。
また、ご自宅の書庫に、バスク・スペイン語辞典(これは天金である)をお持ちの方は、さらに、少ないかも。
まだ、書くことはあるが、長くなってもいけないので、一応ここで終えることにする。 (おわり)
上掲の塚田孝雄訳「ペンタメローネ」(原著は1645年刊行)は、今ネットでみると、値上がりはしていないが、消費税分だけ上がって、値段は37800円になっていた。写真はその1ページ。
もちろん、殆どは日本語だが、これは資料なので、イタリア語のナポリ方言になっている。写真右半分は、誰でもが知っている、あのシンデレラ系統のお話、「灰まみれ猫」第1日の第6話、冒頭である。 |