夫が腎臓病の手術を行い、透析することになりました。その透析も我が家でのこと、 夜寝ているときにやれば、日中は家を留守にできるからです。 そんなことで、病院で透析の器械をベッドのそばに置き、勉強をしたのです。 その器械たるや、かなりの場所を取ります。台の上に置きますが、70センチ四方 の場所が必要です。
寝室を眺めまわしても、それだけの四角い広さはありませんでした。退院する前に 場所の確保が必要と思い、並んでいた洋服ダンスと、和ダンスというのでしょうか? 引き出しだけのタンスを動かさなくてはなりませんでした。それにベッドもです。
洋服ダンスの引き出し2つは引っ張り出して別に置き、洋服も全部ではないですが、 取り出しました。そして反対側の壁にそろそろと動かしたのです。重かったです。 なんとも言えませんでした。 ベッドは窓の向いて置いてありましたが、これは壁に向かわせなくてはならなかっ たのです。狭いスペースの中、ベッドを少しづつ動かし、タンスを動かしです。 その上、和ダンスを端のほうに動かさなければならずで、押すだけでしたがこれも 重く大変でした。
どこにこんな力があっただろうかと、我ながら感心するほどでした。今までは端が 開いていたのですが、部屋の真ん中が2メートルもあるかと思うほど、かなり広く空 きました。成功を祝して一人での乾杯となり、少し体も気持ちも楽になったことも確 かです。
ところがです。翌日のこと、ベッドを反対に向ければ、足の部分が板になるので、 そのほうがいいと思ったのです。寝相の悪い夫がずるずると下がっても、板がカバー してくれるからです。
昨日は午前中でしたが、今日は午後、またもや狭い空間を利用してのベッドを1回 転させるのは大変でした。洋服ダンスの引き出しを取り出し、ハンガーにかかってい たズボン、洋服を何十着か引っ張り出してのことです。それでも動かすのは重く、大 変でした。
若いころは、「力がない、力がない、どうしてそんなに力がないの。こんなことも できないの」と言われ続けたものでした。 「おばちゃんにそんなことしちゃダメ、倒れちゃう」と小さな甥や姪が、私に向かっ てくると、義妹は子どもを掴んだものです。 歳を取って、こんなに力が出るなって、どういうことかと不思議に思います。
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