[No.105]
Re: 即興詩人
投稿者:
投稿日:2011/11/15(Tue) 14:33
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> こどものでなくても、「即興詩人」では岩波文庫に大畑末吉の原典訳があり、これは非常に分かりやすい文章で書いてあるようです。
(鴎外訳と末吉訳の違い)
鴎外のでは、冒頭の「羅馬に往きしことある人はピアッツァ、バルべリイニを知りたるべし。こは貝殻持てるトリイトンの神の像に造りなしたる、美しき噴井ある、大なる広こうぢの名なり。
ここで大半の人は頓挫するのではないでしょうかね。
だいたい、現在ではローマを羅馬とは書かないし、往くも行くだし、ピアッツァとバルベリーニの間も読点ではなく中黒、もちろんバルベリイニとは書かない。また、トリトンよりポセイドンの方がポピュラー。でもポセイドンでなくても結構。
噴井も辞書にでてこない。その上、広小路なら分かるが、広こうぢでは分かる人は少ない。
鴎外自体が、文久の生まれだし、即興詩人を脱稿したのも明治34年である。。いわば骨董品であります。☆
一方、デンマーク語からの原典訳である大畑訳では、
ローマに行かれたことのある人は、美しい噴水のあるバルベリーニ広場をごぞんじでしょう。
これなら、小学生でも分かります。まずこれを読んで、なおかつ余力があれば、鴎外の『創作』に挑戦されては如何か、と。
ま、あれは、アンデルセンの作と云うより、鴎外の作品と云った方が適切でしょう。
大畑訳ではトリイトンについても、半人半魚の海神トリトーンが、と原文にないと思われる説明まで加えています。
この方がすらすらと読めて読者はおおいに助かるのではないでしょうかね、
鴎外のはl馬語からの直接訳でなく、ドイツ語からの重訳でしょう。
☆面白いのは、これを書いたのが初版の例言によると、あっしの住む街の近くの、下志津というところらしいことです。