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[No.128] ペロー童話集 投稿者:男爵  投稿日:2011/11/18(Fri) 11:02
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ペロー童話集はいろいろあるけど
ここでは今読んでいる岩波少年文庫113
のものをとりあげます。

眠りの森の美女
 子どもができないでなやんでいた王様とお妃の間にやっと生まれたお姫様。
そのお姫様の盛大な洗礼式に7人の妖精たちが招かれる。
ところがそこへ年寄りの妖精が現れる。この妖精は50年以上も塔の外に
出たことがなく、もはや生きていないと思われていた。
あわてて王様はもう一人分の食卓を用意させたが、ほかの妖精たちに出した
金のケースはどうにもならなかった。金のケースは妖精7人分しか作らせなかったから。

この年取った妖精は馬鹿にされたと思い口の中でブツブツと脅し文句をつぶやいた。
一人の若い妖精はこの言葉を聞いて、何かよからぬ贈り物をするかもしれないと考えて
物陰に隠れた。

さて妖精たちがお姫様に贈り物をする段になって
妖精たちは、美人になるようにとか、天使のような気立ての持ち主になるようにとか
望ましい贈り物をしていったのに、なんと
あの年取った妖精は「王女様は紡績(つむ)で手にけがをして、命を落とすでしょう」と言ったのだ。

そのとき、ものかげから隠れていたあの若い妖精が出てきて
「命を落とすのではなく、深い眠りにおちいるだけです。その眠りは100年続くでしょう。100年後に一人の王子が現れて、お姫様の目をさましてくださいます」
と言う。

それから先の話は、ごしょうちのように100年間お姫様は城の中で眠り続け
やがて予言のとおり立派な王子が現れ、お姫様が目覚めると城の中の召使いたちも目覚め
王子様とお姫様は幸せに暮らしたという話となる。(この続きがあるのだが、それはのちほど)

この話はグリム童話にもあり、それは「いばらひめ」である。
  参考にしたのは
 語りつぐ グリムの昔話 (第1集) [単行本]
 グリム (著), 浜田 洋子 (イラスト), 乾 侑美子 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/%E8%AA%9E%E3%82%8A%E3%81%A4%E3%81%90-%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%81%AE%E6%98%94%E8%A9%B1-%E7%AC%AC1%E9%9B%86-%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%A0/dp/4892740314

やっと生まれたお姫様のお祝いの宴会に
王様は魔法使いたちを招待しようと考えたのだが
この国には、魔法使いの女たちが13人いたのに
魔法使いたちに出す料理の皿が12枚しかなかったから
12人しか魔法使いを呼ばなかった。

例によって、魔法使いたちが小さなお姫様におくりものをする。
はじめの魔法使いは気高さを、二番目の魔法使いは富を、というぐあいに
ひとりひとりが、この世でのぞめるかぎりのものをおくった。

十一番目の魔法使いがおくりものをいい終わったとき
とつぜん十三番目の魔法使いが広間に入ってきて、自分がまねかれなかった仕返しをした。
「王女は十五歳になったら、つむにさされて、たおれて死ぬよ!」

そこへ十二番目の魔法使いが進み出て、おそろしい予言を取り消すことはできなかったが
やわらげることはできたので、こう言った。
「おひめさまは、なくなりはしません。ただ百年のあいだ、深いねむりにおちいるでしょう」

おひめさまが十五になったとき、古い塔にのぼり、そこでおばあさんがつむいでいるのを見て、自分もつむにさわると指をさしてねむってしまう。
王さまもけらいたちも召使いたちもみんあねむりこんでしまう。

100年後に王子が現れて、いばらひめにキスをすると、姫も王さまもけらいたちもみんな目がさめる。
  ここでグリム童話はおしまい。

ペロー童話のほうはまだ先があって
王子はお姫様と、お姫様のお城で暮らすうちに、女の子と男の子の二人の子どもにめぐまれる。

王子はしかし、姫と子どもたちのことを自分の母親には言わなかった。
というのは、自分の母親は人食い鬼の性質があって、小さい子どもを見ると
大変ながまんをしてやっと、襲いかかるのをやめるのだと、ひそかにうわさされていたからだった。

2年後に王が亡くなり、王子は新しい王となる。
こうなったら王は自分の家族がいることを発表した。
妻の王妃を連れて二人の子どもをだいて自分の城に入場した。

王は隣国と戦争になったので、自分の母の王太妃に妻と子をたのんで戦場にでかけた。

ところが
王太妃は孫の子どもたちが食べたくて食べたくて料理長に命令する。
料理長はなんとか代わりに子羊や子ヤギを料理して子どもたちを助ける。
とうとう最後に王太妃は王妃を食べたいと料理長に命令する。

もう王太妃をだませない、自分の命がたすかるために
料理長は王妃のもとに行くが、王妃と話をしているうちに
今度も別の料理を出してみようと考え、若い牝鹿の料理を王太妃に出す。

そのうち人食い鬼の王太妃は王妃と子どもたちが生きていることを知り
料理長にだまされたことに気がつく。
王太妃は中庭に大きな桶をもってくるように命じ、その中に
ヒキガエル、マムシ、さまざまなヘビをいっぱい入れさせた。

その中に、王妃と子どもたちと、料理長とその妻を投げ込もうというのである。

ちょうどそのとき、早馬で戦場から戻ってきた王が現れる。
狂乱した人食い鬼は、自分からまっさかさまに大桶のなかに飛び込んで
邪悪な動物たちに食い殺されてしまった。
  メデタシ メデタシ

     ♪     ♪

シャルル・ペロー 1628-1703

ペロー童話集は100年後に出版されたグリム童話(1812年に最初の出版)と
話の似ているものがいろいろあるけど
それはフランスとドイツだから地域も近いからだろう
と思ったのですが....

1517年にローマ教会に対して贖宥状などの批判をした
ルターの宗教改革がフランスに伝えられ
フランスにも、プロテスタント信仰を持つ者が増えます。
こうして生まれたフランス国内のユグノーへの迫害は、ユグノー戦争に至ります。

世界史にでてくることですが
1598年にアンリ4世によって発布されたナントの勅令により信仰の自由を認められたが、1685年ルイ14世のフォンテーヌブローの勅令によってナントの勅令が廃止されたため、ユグノーの多くはドイツをはじめとする国外に移住したのでした。

実は
グリム兄弟に昔話を教えたのはユグノーの子孫の女たちでした。
グリムは彼女たちから聞いた昔話を整理してグリム童話として出版したのです。
だから、グリム童話のなかには、ユグノーがフランスから持ち込んだ昔話が入っていた可能性があります。


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