[No.459]
大つごもり
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/06(Tue) 07:49
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読みにくい樋口一葉の擬古文も
この小説だけは理解できた。
奉公人のお峯が
世話になった伯父夫婦が困窮してして
大晦日のお昼までに
奉公先から何とか前借りしてほしいと頼まれるが
とても奉公先の女主人は締まり屋で
やはりというか断られてしまう。
実はこのお峯の雇い主の家には道楽息子の石之助がいて
父はそれでもこの一人息子をかわいがっているが
養母は彼が帰ってきているので機嫌が悪かったのである。
困り果てたヒロインは
石之助が炬燵で熟睡してしまっているのを見て
とうとう懸け硯の引き出しをあけて
大枚二枚をぬきとってしまう。
なんとか伯父夫婦にお金を渡してホッとしたのもつかの間。
いずれ捕まってしまうとお峯はおびえるがそれから何もなかった。
実は道楽息子の石之助が父から金をせびってまた家を出たのだが
彼はまだお金がほしいとみえて
懸け硯の中をからっぽにして「引き出しの中の分も拝借しました」
という置き手紙を置いていったのだ。
だから、誰もお峯が二枚の札を盗んだことには気がつかなかった。
もしかしたら、石之助はそれを知っていて手紙を入れておいたのかもしれない。