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[No.499] 新釈遠野物語 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/09(Fri) 13:45
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井上ひさし:新釈遠野物語

「遠野物語」は、柳田國男が遠野出身の佐々木喜善から聞いた遠野地方の民話を集めて
出版したもの。
柳田國男は真面目な佐々木喜善の話したことを、そのまま書いたという。

この話は、「遠野物語」のパロデイみたいなものである。
井上ひさしは、これは犬伏老人から聞いた話であるが、犬伏老人は話し上手だが、ずいぶんいんちき臭いところがあり
自分もまた多少の誇大癖があるから、あてにならないとわざと断ってある。

川上の家
 小学3年生の主人公が学校に行くと転校生が来て先生から紹介される。
「山奥の分校から来た孝太郎君だ。みんな仲良くしてあげてくれたまえ」
孝太郎には父はなく母親一人。あるとき主人公は川の上流にある孝太郎の家に
忘れ物を届けに行く。そして彼の母親が寝たきりの姿を見る。
彼の母は肝を食べたいという。
数日後、主人公の弟が川でおぼれ、内臓がすっかりなくなっている。
また父は新しい鉱脈を発見して大喜びする。

雉子娘
 貧しい小作の源作の一人娘志保が病気で白いおかゆが食べたいという。
米蔵が破られ一升だけ米が盗まれた。
屋敷の女隠居(主人の母親)は蝙蝠を飼っていて、その蝙蝠が占いを手伝う。
蝙蝠によって犯人は源作であるとされる。翌日源作は蝙蝠に喉を突かれ雪の中に死んでいた。それから志保は口がきけなくなった。
 春になり志保のところに雉子が迷い込んできた。助けられた雉子は女隠居の蝙蝠を
突き殺して飛び去った。
志保が外に出たとき、その雉子は戻ってきた屋根の上に止まった。
そして一声鳴いた。気がついた主人は外に出て鉄砲で雉子を撃った。
すると志保は雉子の死骸を抱き上げて「私は白いおかゆがたべたいと父に口をきいた。
おまえは、ここにいますよと私に口をきいた。二人とも口をきいたばっかりに....」
この話をしてくれた犬伏老人は志保に思わず言った。「志保さん、口がきけたじゃないか」


なんだか私もこのくらいは話せそう。似たような昔話は知っているので。