画像サイズ: 601×600 (53kB) | さて、バッファロー空港は、アメリカ合衆国のテリトリーなのでここで合衆国「入国審査」を受けなくては乗り換えができません。(当時は「ビザ」は必要なかったのですが) ところがパスポートコントロールを出たところで、警察官みたいな人に、いきなりバッグからポケットまで、調べられた上で、腕を掴まれて、別室へ連れて行かれちゃったのです。 どうやらロビーを巡回していた警察犬が、私を気に入ってしまったらしかった。 おまけに、バッグの中から「薬包紙」に包まれた白い粉薬を見つけたようでした。 (薬包紙というのは、正方形の折り紙大の白い紙のことをいいます。当時はこの紙に粉薬を乗せて五角形に包んだものでした。日本でも、その後まもなく「カプセル入りの薬」の時代を迎えましたが。)
実は、出発前に風邪をひいて咳が止まらなかったので、念のため持参したクスリだったのです。 クスリの検査が終わるまで、グシャグシャに引っ掻き回されたバッグとともに、別室で待たされること一時間。私は気が気じゃありません。ニューヨーク行きの飛行機に乗り遅れたら、当日中に牧師さんの家に着けないのです。最悪の場合は、牧師さんに、バッファロー空港へ「もらい下げ」に来て頂かなくてはならなくなります。 しかし、係官は完全に、私を「被疑者扱い」にして相手にしてくれない。いや、困りました。
一時間後、係官が、戻ってきて「鑑定の結果、この白い粉は『ヤク』ではなく、単なるクスリと判明した。よって無罪放免とする」みたいなことをいうわけです。そして、警察犬のアタマを撫ぜながら「コイツも風邪ひいたかな。鼻がおかしくなったらしい」みたいなことをいうのです。私は「ワンちゃんに、この風邪薬飲ませたら」といったのですが、意味が通じなかったみたいでした。 まずは、搭乗券を見せて「とにかく出発時刻が迫っているの。なんとかしてよ」といい加減な英語で怒鳴りました。人間、興奮すると自国語でも、ちゃんと話せなくなるものです。まして、あなた、外国語でしょう。やむを得ないです。ま、とにかく、私の苦境を察したらしく、ボスらしい人が「手伝ってやれ」みたいなことをいってくれたようです。
一人の係官は、搭乗券を見ながら電話をかけていました。別の係官は、グシャグシャになった荷物を、無理やりバックに詰め込んで、ファスナーが少し開いたまま、ぶら下げて突っ走って行きました。もう一人の係官は、私の腕をグイグイ引っ張って搭乗ゲイトへ突っ走ります。私は転びそうになりながら引っ張られ、なんとか、飛行機に乗れました。
私は、未だに、合衆国に対する印象があまりよくないのですが、これは初対面?の印象が悪すぎたからかもしれません。 |