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[No.4635] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 1 (2016/6) 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/11(Mon) 06:18
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 1 (2016/6)
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 出発でーす

 小さい時から「残雪をいただく遠山、緑の牧場に咲くキンポウゲ、聞こえてくるカウベルの音」という世界に憧れていました。

 もちろん、スイスでも、カナダでも、ニュージーランドでも、こういう光景に出会うことはできます。しかし、なんというか「ゲミュートリッヒカイト(のんびり感・寛ぎ、心地よさ、うれしい雰囲気)」を感じるには、オーストリアのチロル地方が一番ぴったり来るように感じるのです。

 というわけで、あと、何回行けるかわからない年に一度の海外旅行、今年の旅行先は、オーストリアのチロルを中心としました。
 この「ヤジキタ道中」のメンバーは、モンジロウ氏(85才半・マーチャンの実兄)とマーチャン(81才)の2人、期間は2016年6月5日〜18日までの2週間です。


[No.4636] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 1 (2016/6) 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/11(Mon) 06:19
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 1 (2016/6)
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 旅の行程地図です。


[No.4639] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 2 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/12(Tue) 06:26
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 2
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 2  往復のお乗り物 1

 今年も「アエロフロート(ロシア航空)」のビジネスクラスで行くことにしました。
 なぜまた?
 もんチャン85才半、マーチャン81才。脳みそはお子様並みでも、好奇心は旺盛でも、寄る年波のおかげで、それぞれ「加齢による心身の経年劣化」を抱えています。
 となると、ヨーロッパ往復の飛行機旅は、多少の負担となる可能性があります。
 なかでも「椅子に座ったまま寝る」ということ、あれはよくない。人間、眠るときは水平に近い形で眠りたい。
 それを可能にするには「ビジネスクラス」または「ファーストクラス」に乗るしかない。
 しかし、ヨーロッパ系の航空会社の場合、ビジネスクラス、ファーストクラスの運賃は高いのであります。
 大雑把に言うと、エコノミークラスの2倍または2.5倍がビジネスクラス、更にビジネスクラスの2倍がファーストクラス、ということになります。
 とはいえ、世に「航空運賃」の価格体系ほど不可解なものは珍しいのです。あの機内のシートを埋めつくしているお客さん一人ひとりが異なる運賃を支払っているという不思議な世界なのです。

 というわけで昨年、ヨーロッパ往復に関する「格安ビジネスクラス」を持つ航空会社を、徹底的に調べました。その結果、候補に上がったのが「アエロフロート(ロシア航空)」なのです。
 ヨーロッパ系の航空会社のエコノミークラスの料金の 1.3倍くらいで乗れるのです。
 そして昨年乗った時の経験から「あれがいいな」ということになり、今年もアエロフロートを予約したのでした。


[No.4640] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 2 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/12(Tue) 06:29
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 2
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 問題は、モスクワ、シェレメチェボ空港での乗り換えがうまくいくかどうかです。


[No.4642] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 3 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/13(Wed) 06:42
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 3
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 往復のお乗り物 2

 機体はA330-300です。
 (ファーストクラスはなし)
 ビジネスクラスの座席は、いわゆる「コクーン型」で、ほぼ水平に近いところまで倒れます。
 また「足だけ持ち上げる」「頭を低くする」なども可能です。
 このほか「ベッドサイド ライト」もあり、Lanや、USBのポートもありまた。

 ただ、設備についてですが「機内エンターテイメントサービス、モニターが15.4インチ」というのは嬉しいのですが、私の座席の前にあるものは、乗った時から、リモコンに「error」の表示が出て立ち上がらず、もんチャンのものは、途中で画面が固まってしまう始末。パーサーさんが、システムを再起動させてくれたのですが「lenux bootナントカ」という画面が出たまま、延々と待たされて、30分近くして、やっと使えるようになりました。いままで乗った飛行機でそんな目にあったことはないので、ちょっとびっくりしました。

 なお、機内でのWiFiアクセスは有料ですが使えるそうです。


[No.4644] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 4 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/14(Thu) 06:19
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 4
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 往復のお乗り物 3

 実は、めったにないことなのですが、出発日当日胃腸の調子がおかしい。朝食代わりに成田のコンビニで買ったカップヌードルがお口に合わず半分くらい残してしまった。これがいけなかったのかもしれません。
 しかし、出発前は気ぜわしい。機内に預ける荷物を確認したり、Eチケットやパスポートを用意したり、バタバタしているうちに「胃腸のこと」は忘れてしまった。

 やがて、飛行機は飛び立ち、巡航速度となると、期待の「お食事」が出ます。
 これが、素晴らしいのです。
 ビジネスクラスでは、お料理は、本式のレストンみたいに一皿ずつ登場します。

 ウエルカムドリンクとナッツ(ちゃんとお皿に入っていました)に続き、前菜、栗のポタージュ、メインには「鱈のノイリークリームかけ、ポレンタ添え」、デザートは「マンゴープリン」と「アイスクリーム」―――すべて食べ終わって「満足満足」です。
 そして思い出しました。「ああ。そういえば、私の胃腸すっかりご機嫌を取り戻している!!」と。その後も胃腸君は、私と一緒にヨーロッパの食べ物を楽しんでくれました。
 どうやら、私の胃腸君、旅行が大好きみたいなのです。

 それから、客室乗務員さんたちも、キビキビとよくはたらいていました。
 とくに、私たちの席の担当のオニイサンはよくやってくださっていました。
 背の高い彼は、私と話をするときは、屈んで座っている私と目を合わせて、しっかりしたわかりやすい英語で話してくれました。
 座席の前のポケットに、入れていたゴミなどもマメに片付けてくれました。


[No.4645] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 4 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/14(Thu) 06:25
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 4
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 デザートの部です。


[No.4647] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 5 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/15(Fri) 07:47
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 5
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 往復のお乗り物 4

 さて、ミュンヘンへ行くには、モスクワのシェレメチボ空港で乗り換えなくてはなりません。
「悪名高過ぎる」といわれているシェレメチボ空港ですが、ビジネスクラスであろうと、ファーストクラスであろうと、乗り換える以上は、ここを通らなくてはなりません。
 しかし、日本発の飛行機が利用する「Dターミナル」ができてから「薄汚い、暗い」というイメージは消えました。でも、乗り換えに手間がかかるのは事実です。ターミナル同士が遠くはなれているので移動に、どえらく手間がかかります。
 それと、他の空港のように「搭乗口」が決まっていません。搭乗券に記載してある「ゲイト番号」を信用してはいけません。もう一つ「搭乗口」に明かりがついて、行き先が表示されるのは出発の30分前なんていうことはよくあります。搭乗口が決定するまでは、不安そうな顔をしてウロウロしていなくてはなりません。インフォーメーションへ聞いても確かな答えは帰ってきません。
 お店はありますが、店員さんは面倒くさそうな顔をしていて、外人乗客を胡散臭そうな目で見ていますし、値段は高いし、ユーロは使えません。
 まだ「社会主義国だったころのしっぽ」をぶら下げているように感じます。

 そうそう、それから、モスクワ乗り継ぎで「EU圏」へ行く場合、モスクワと、到着国とで2回、パスポートチェックを受けなくてはなりません。

 というわけで、このあたりが「アエロフロートの航空運賃が格安」な理由なのでしょう。

 なお「機内エンターテイメントサービス」のクラシック音楽には、諏訪内さんがソロを弾いている、チャイコフスキー、メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトがありました。


[No.4648] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 5 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/15(Fri) 07:50
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 5
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 空港の窓から撮った写真です。


[No.4649] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 6 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/16(Sat) 06:23
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 6
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 ミュンヘン経由でボーデン湖へ 1

 アエロフロートも、モスクワ・ミュンヘン間は3時間。巡航速度になり食事が出て、片付けると、まもなくベルト着用のサインが出て、飛行機は下降体制になります。

 EU圏のドイツに入国すると、何故か安心します。
 しかし、入国審査に、やけに手間がかかっています。
 特に、私の前の人に、ずいぶん手間がかかっていました。
 きっと、なにか「訳ありの人」なのだろうと、他人事と思っていたのですが、私の番になりますと、滞在予定日数などを聞くばかりでなく「帰りのチケットを見せなさい」とまで言われました。リックサックを開けて、Eチケットの控えを取り出そうとしていると「もう行っていい」と手で合図しましたが。以前のように簡単ではなくなりました。

 ま、いろいろあったせいでしようか。このところEU圏各国では入国者に対して警戒を強めているように感じます。
 その後も、EU圏内で、列車が国境を越えるときなど、国境駅で列車を止めて、武装警官がぞろぞろと列車の廊下を歩いて監視しているのを再三見かけましたから。でも、あれで、テロリストの入国を阻止できるとは思えませんが。
 
 一応、無事入国でき、荷物もちゃんと取り出せたのですが、空港バスのバス停の場所がどうしてもわからない。
 もう、午後10時というのに、インフォーメーションの窓口には初老のおじさんが座っておられました。「ああ、中央駅行きの空港バスだね。荷物があるようだから「近道」を教えてあげよう。えーと、ちょっと分かり難いところなんだ。ま、私についてきなさい」というと、どんどん歩き出しました。ここを通って、ここを曲がって、ここを回ってーーーと、そのまま、窓口を放ったらかして我々をバス停まで案内して「切符は車内で買える。バスはあっち方向からくるのに乗りなさい」と丁寧に説明してくださいました。南ドイツの人は親切と言われていますが、たしかに「おもてなし」の心でいっぱいでした。
 そして、夜11時過ぎでしたが、バス停の前にそびえ立つ「エデン・ホテル」へつつがなく到着し、長い一日が終わりました。


[No.4650] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 7 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/17(Sun) 06:22
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 7
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 ミュンヘン経由でボーデン湖へ 2

 この日は、ミュンヘンからボーデン湖へ列車で向かいます。

 列車に乗るときは、まず、駅のインフォーメーションへ行って「何時頃出発して、どこそこへ行きたい」といいますと「Fahrplanauskunft  Timetable information   時刻表情報」というものをA4の用紙にプリントしてくれます。
 ま、早く言えば「路線案内」みたいなものです。「何番線から、どこそこ行きに乗り、どこそこで何行きに乗り換えて」という例のアレです。なかなか詳しいのです。
 もちろんドイツ語ですが、大部分は数字と記号ですからナントカなります。

 鉄道王国の日本とは違い、大抵の国では「時刻表」などはどこでも買えるわけでなく、スマホアプリにも「乗り物案内情報」はあまりないらしく、はじめての所へ行く人は、たいていこれを利用しています。

 まず、ミュンヘンからウルム(ドナウ川沿いの、世界で最も高い尖塔を有するウルム大聖堂で有名)までは、ICと称する特急でしたので、折りたたみ式の大きなテーブルのあるコンパートメントで快適に過ごせました。

 しかしウルムで乗り換えた「鈍行」は、耐用年数がとっくに過ぎたような、建て付けが悪いシロモノで、窓を閉めてあっても風が入ってきます。そしてカタカタと大きな音を立てるのです。日本だったら、とっくの昔に廃車になっているであろう車輌なのでした。

 リンダウは、ボーデン湖に浮かぶ島なのですが、今は長い橋で陸地と繋がっています。わが街の江の島みたいな存在です。列車が橋をわたって島へ入っていくさまは、イタリアのメストレからベネツィアのサンタルチア駅へ向かう風景と似ていて、やはり「胸をときめかす風景」です。


[No.4651] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 7 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/17(Sun) 06:23
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 7
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 コンパートメント式の列車ですから、各部屋にドアがあります。


[No.4652] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 8 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/18(Mon) 06:47
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 8
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 ミュンヘン経由でボーデン湖へ 3

 駅の外は、湖畔の町らしく明るく、また、気温もどんどん上がりつつありました。
 まずは、今夜泊まるホテル;ネットから予約してあったのですが、ここに荷物を預けなければならない。「アダラ・ホテル」という小さなホテルです。
 
 地図は調べておいたのですが、どっちみち狭い島の中なので簡単に探せると思っていたのですね。ところが、それが、なかなか簡単ではなかった。町のなかは、小道がたくさんあり、ごちゃごちゃと分かり難い。
 海岸近くで、モンちゃんに2つのスーツケースの番をしてもらって、探しに行ったのです。近くで店番をしておられたおじいさんにも伺ったのですが、伺ったとおりに歩いてみても、見つからない。 
 おかしいっ、と思い先ほど伺ったお店に、もう一度聞きに行きました。
 「そんなことないよ。絶対にあるはず。今朝、通ったときにもあったんだから、見つからないはずはない」などと、ぶつぶついいながらついてきてくださいました。
 「これだよ」と指さして教えてくださった看板。私の頭のテッペン近くにあって、あまりにも「芸術的」で地味だったので、見過ごしてしまったのですね。
 長いこと待たせてしまって、モンちゃんもさぞ心配していたことでしよう。

 なお、この宿屋、ブテックホテルを標榜しているだけあって、外目には地味なのですが内装はなかなかのものです。昔風の革のトランクにご執心らしく、机も、戸棚も、すべて革のトランクを模してできていて、食堂の壁は「鏡」でいっぱい。モンちゃんはトランクの前で「寅さん気取り」です


[No.4653] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 8 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/18(Mon) 06:47
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 8
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 食堂は、鏡の間です。


[No.4654] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 9 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/19(Tue) 06:46
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 9
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 ミュンヘン経由でボーデン湖へ 4

 ホテル探しに以外に手間取っていて、気がついたら午後2時を過ぎていました。街角のパラソルの下のレストランも大方、片付けはじめていました。とにかく、なにか食べなくてはーーーとあちこち探したのですが、空いているのは「カフェ」ばかり。ところが、あるカフェの前でメニューをみていますと、店のなかからオッサンが出てきて「何が食べたいんだね?」と聞きます。「ランチ。そうね。スモールランチでいいの」といいますと「オーケー、任しときや。サンドイッチでいいか」と聞きます。「もちろん」と答えて中で待つことしばし。ブラウンパンの間に、ハム・チーズ・トマトを挟んで焼いたものにコーヒーを添えて持ってきました。お味は、まあまあでしたが、もともとこのお店「甘味処」なのに、間に合わせで、自宅のお昼ゴハン用の食材の残りを使って作ったのでしょう。
 きっと、このオッチャン、イタリア人だろうと思います。
 だって、ドイツ人には融通が利かない人が多いもの。

 さて、街なかの見物ですが、この街の観光の目玉はボーデン湖です。まあ箱根のような湖畔のリゾートタウンです。ガイドブックなどを見ても、街なかに目ぼしい観光対象はなさそうです。 
 唯一、1436年の建築の美しいフレスコに飾られた旧市庁舎くらいでしょうか。

 しかし、中世から栄えた町ですから、面白い建築物がたくさんあり、街なかの「そぞろ歩き」は楽しいものでした。しかも、旧市街地は「クルマ乗り入れ禁止」の「ホコテン」ですからのんびりとお散歩が楽しめます。


[No.4655] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 10 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/20(Wed) 06:50
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 10
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 ミュンヘン経由でボーデン湖へ 5

 さて、ボーデン湖は、琵琶湖の2倍近い大きさで、ドイツ、オーストリア、スイスの国境にあります。ということは、この湖を渡る遊覧船に乗りますと、ドイツ、オーストリア、スイスの三カ国が眺められることになります。

 そして、水はライン川から流れ込み、またライン川へと下っていきます。ライン川はヨーロッパの「父なる川」と言われていますが、そうであればボーデン湖は「父なる湖」ということになります。なお、ヨーロッパの「母なる川」と言われているドナウ川の源泉も、ライン川の源泉近くにあります。

 ここまで来て、遊覧船に乗らないで帰る手はないです。慌てて船着場の切符売り場へ行き「えーと、遊覧船には、どんなコースがあるのですか」ききますと「そんなことより、あと6分で最終便が出る。乗るのなら急いで切符を買って船着場へ行きなさい」と言われてしまいました。我々が、あわてて、お金を払って切符を買い、桟橋を渡りかけると、はや、船員さんは友綱をとく準備をはじめました。

 ところが、ここに至って桟橋にパトカーみたいなクルマが横付けになり、役人風の男性が2人降りて出港しかかっている船に乗り込んできました。はじめは「あれ。テロリストの警戒かしら」と思ったのですが、彼らは防弾チョッキも着ていないし、ハジキも持っていません。しかし、船長と思しき人が、彼らを案内して船内に入ってきました。10分くらいするとお役人さん?は降りて行きました。おそらく保健所の「湖の水質管理状況検査」の類ではないかと思います。

 それで、出港かと思いましたら、第二幕がありました。出ていこうとする船に向かってオバサンが疾走してきたのです。彼女は、ハアハアいいながら、船員さんへ何かの包みをわたしていたのです。想像するに、あのオバサンは湖畔のカフェの女将で、お客さんの忘れ物を届けに来たのかもしれません。

 我々は、桟橋のよく見える位置にいたのですが、すでに出航前に二幕のドラマを見ることができました。
 マーチャンは、そんな些細なことばかり書いているから旅行記が先に進まないのよ」というご意見をお持ちの方もおられると思います。しかし「神は細部に宿り給う」のです。「どうでもいい些細なこと」を観察することこそ、旅の醍醐味のです。


[No.4656] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 10 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/20(Wed) 06:53
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 10
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 船のデッキからみた雲は素晴らしかった。


[No.4660] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 11 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/21(Thu) 06:20
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 11
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 ミュンヘン経由でボーデン湖へ 6

 船は、新灯台と、ライオンの像に囲まれた港を出港すると湖へと出て行きました。リンダウを出て少し南東に行きますと「ブレゲンツ」ですが、ここからちょっとだけ「オーストリア」の沿岸を通ります。向かい側はスイス。北側はドイツ領となります。湖は広く海のようです。中央ヨーロッパでは、近くに海がないので、彼らにとってボーデン湖は海の代替品のような存在なのでしょう。
 遠く見える陸地を眺めているうちに、対岸のスイス領の船着場に着きました。

乗客の半分くらいがここで下船して、スイス見物に行きました。
 私たちは、その晩はリンダウへ泊まり、翌朝、インスブルッグへ向かって出発する予定でしたので、引き返さざるを得ませんでした。
 やはり、リンダウには二泊すべきでした。
 マウナイ島、ラインの源流などなど 湖の周辺には見るべきものがあったのに、私たちは、ほんの一部しか見ていないのです。
 人生にも「やり残してしまった心残りの仕事」があるのを同じですね。

 帰路はひたすら青空に浮かぶ「積乱雲の変容」を眺めていました。やはり雲は天才ですね。

 夕食は、街でビールと「ウインナーシュニッツェル」をいただきました。これは仔牛のカツです。薄く広げてパン粉をつけて揚げてあります。私の好物です。


[No.4661] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 11 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/21(Thu) 06:22
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 11
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 St.Gallen 号です。
 ザンクト・ガレンはスイスの街です。


[No.4664] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 12 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/22(Fri) 07:48
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 12
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 インスブルック 1

 さて、この日は、列車でインスブルックへ行きます。リンダウからスイスとの国境にあるフェルトキルヒまでローカル線で行き、ここから「IC」のアルペン急行でインスブルックへ行きます。
 この路線は、オーストリアの代表的な「観光列車」のひとつで、長いアールベルグ・トンネル
をぬけると「ザンクト・アントン」などの高級スキーリゾート地が幾つも並んでいます。
 広い窓から、外の景色を眺めていると2時間ほどでインスブルックに着きます。

 ただ、アルペン急行といっても、スイスの鉄道のように峻険な山並みに囲まれているわけではなく、もう少し長閑なチロルの牧場の彼方に残雪の残る3000メートル級の山々が見渡せる、という感じです。もっとも地球温暖化の影響でしょうか、例年に比べて残雪が少ないように感じました。
 また、以前に比べて牧場の牛の数が減っていますし、典型的なチロルの民家(木造の山小屋スタイルで、窓辺にはゼラニュームの鉢が並んでいる)も少なくなったように感じました。やはり、この国も変わりつつあるのでしょうか。

 トニー・ザイラー の「白銀は招くよ」を覚えておられますでしょうか。あの世界です。ただし、トニー・ザイラーは、同じチロル州でも、インスブルックよりもう少し東側の「キッツビュール」の出身です。


[No.4665] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 12 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/22(Fri) 07:53
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 12
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 ほとんど乗客のいない列車(回送車ではありません)


[No.4666] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 12 投稿者:唐辛子 紋次郎  投稿日:2016/07/22(Fri) 17:46
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 12
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> トニー・ザイラー の「白銀は招くよ」を覚えておられますでしょうか。あの世界です。ただし、トニー・ザイラーは、同じチロル州でも、インスブルックよりもう少し東側の「キッツビュール」の出身です。

 その「キッツビュエル」駅が、走行中の車窓から見えました。


[No.4668] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 13 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/23(Sat) 07:32
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 13
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 インスブルック 2

インスブルックは、オーストリア共和国チロル州の州都です。と同時に「スキー、登山を中心としたツーリストリゾート」でもあるのです。

 市内の見物は、あと回しにして、まずは、インスブルック北側に雄大にそびえるノルトケッテ連峰のハーフェレカー山(2334m)に登り、インスブックの街と周囲の山々を見物することにしましょう。
 当然のことですが「山の天気は、朝がよい」のです。せめて午後3時頃までに到着したい、と思っていたのですが、なかなか思うように行きません。

 途中で簡単な昼食をとって、カンカン照りの市内をケーブルカーの駅へ向かったのですが、曲がり角を見落として、行き過ぎてしまいました。行きつ戻りつしながら、乳母車を押している若い奥さんに伺ったところ、教えてくださったのが市内から近い始発駅ではなく、次の駅だったのです。しかも無人駅で、ここには切符売り場もありません。しかしホームには入れたのでやってきたピカピカの新品のケーブルカーに乗れました。ケーブルカーからは市内が眼下に一望できました。絶景でした。
 山に囲まれ、市内を流れる「イン川」が光っています。
 同じ箱に「ワンちゃん」も乗っていて、この景色を楽しんでいました。
 終点まで、車内検札もなく、車掌さんもいないので、結局「無賃乗車」になってしまいました。
 
 終点からは「ロープウエイ」へ乗り換えます。今度は、ちゃんと切符を買って待合室で待ちました。ところが、あなた、15分間隔で走っているはずのロープウエイが、待てど暮らせどやってきません。ここで遠雷と夕立です。
 一時間近く待って、急に復旧しました。どうやら運転設備の故障だったようです。駅の人がハシゴに登って、設備の点検をしていましたから。こういう場合、だいたい外国では「なぜ、動かないか」についての説明はありません。地元の人達に伺っても、わからないのです。
 というわけで、頂上のハーフェレカー山(2334m)に着いたころには夕刻に近く、雨は降ったり止んだりしていました。
 それでも、雨の止み間にはダイナミックな景色を堪能することができました。
 雪渓の方へ行くこともできたのですが、そのときまた雨になったので止めました。
 昔は「健脚さん」しか楽しめなかった山の景色を、我々年寄りが楽しめるということは有り難いことです。

 ワンちゃんも車窓からの眺めを楽しんでいました。


[No.4669] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 13 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/23(Sat) 07:33
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 13
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 展望台からの眺めです。


[No.4671] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 14 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/24(Sun) 07:34
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 14
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 インスブルック 3

 山を降りてきますと、外界はカンカン照りでした。
 さて、インスブルックの市内観光に参りましょう。
 インスブルック、街の名は「イン川に架かる橋」という意味なのですが、市内だけでなく、近郊へ行っても、列車で移動しても、行くところ行くところに「イン川」がついてきます。いまは 「雪解けの季節」で滔々と雪解け水を湛えています。
 人口約13万人。標高574メートル。古代ローマ帝国時代以来、ヨーロッパの交通の要所として栄えてきました。
 とくに、ハプスブルク家の下、政治、経済、芸術の中心地として大いなる発展を遂げ、現在でも中世都市の面影を強く残しています。地理的な関係もありイタリアの影響も強いと言われています。ハプスブルク帝国皇帝マクシミリアン1世と女帝マリア・テレジアにこよなく愛された街なのです。皇帝だけでなく世界中にインスブルック・ファンがいます。日本にも多いです。そうですね。ちょっと、長野県松本市に似ています。

 なお、この街の、大方の「見どころ」は、街を南北に貫く「マリア・テレジア通りを中心とするあたり」に沿っていますから観光には便利です。

 北から歩きますと、まず「王宮」です。ここは公開しています。ウイーン風の華麗なロココ調です。同じくインスブルックを愛していた、皇妃エリザベート(シシー)の肖像画もあります。(もっともシシーさんはマーチャン以上の旅行好きでヨーロッパ中を旅していたようですから、当然ここにも来られたことでしょう)
 
 王宮のすぐ脇に「黄金の小屋根」があります。1500年に、マクシミリアン1世が作らせた皇帝専用の観覧席。広場に面した建物の一部をロイヤルボックスに改装したもので、騎士たちの馬上試合や観劇に使われたといわれています。たしかに、ここは特等席ですね。

 黄金の小屋根のすぐ近くにある「ヘルブリングハウス」は、ピンク色のファサードと花模様がかわいい。後期バロック装飾の傑作と言われています。私はこれが気に入りました。

 更に南下すると「アンナの塔」と「凱旋門」があります。

 かくして、一日は終わりました。歩数計の数字は21000歩。少し疲れました。


[No.4673] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 14 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/25(Mon) 07:31
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 14
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 王宮のすぐ脇にある「黄金の小屋根」です。


[No.4674] チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 15 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/25(Mon) 07:37
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チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 15
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 インスブルック 4

 ところで、宿ですが「老舗の割烹旅館」として500年の歴史を誇る「schwarzeradler(黒鷲ホテル)」を予約しています。このホテルは「老舗の割烹旅館」でボランタリーチェーン「ロマンテックホテル・グループ」のメンバーでもあります。

 インスブルックには、もう一つ「Goldener Adler(金鷲ホテル)」というモーツアルトやゲーテも泊まったという由緒あるホテルがあるのですが、アメリカ系のホテルチェーンの傘下に入ったと聞いて泊まるのを止めました。
 
 黒鷲ホテルのほうは、いまもUltschさん一家による家族営業で、なんだか安心して泊まれます。
 実は二晩泊まったのですが、夕食は二晩ともこのホテルのレストランで頂きました。
 ハウスワインもなかなか良かったです。小さなデカンタに入れて持ってきてくれのですが、グラス二杯分はありました。
 お料理の方は季節の味「アスパラガス」をいただきました。
 私は、さっぱりと「オランディーソース」のかかったものを注文しました。えーと「オランディーソース」と申しますのは、卵黄とレモン汁とバターの入ったソースです。モンちゃんは「アスパラガスのリゾット」を注文しておられましたが、後で味見をさせてもらったところ、こちらも、なかなかのお味でした。

 マーチャンはアスパラガスの他に「クネーデル」を注文しくました。
 これは、中央ヨーロッパの田舎料理ですが、クネーデルというのはドイツ語で団子のことです。茹でたジャガイモや固くなったパンを潰し、これを生地にして丸めたもの。ゆでたり、蒸したりしていただきます。なかにハムやベーコンの切れっ端しや野菜が入ったものもあります。早く言えば「残り物片付け料理」です。


[No.4675] Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 15 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/07/25(Mon) 07:38
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Re: チロル・ドロミテ、ローカル線の旅 15
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 ハウスワインもなかなか良かったです。