[No.479]
黒澤明「天国と地獄」
投稿者:男爵
投稿日:2013/10/06(Sun) 06:27
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「天国と地獄」 1963年(昭和38年)公開
監督は黒澤明。毎日映画コンクール・日本映画賞などを受賞。
[No.350] の記事で
DeBugmanさんが
ニュ-ヨ-クで、この映画を(英語字幕ス-パ-版)を観たことを
書かれています。
権藤(三船敏郎)は捜査官を伴って犯人が指定した特急こだまに乗り込むが、車内に電話がかかり、犯人から「酒匂川の鉄橋が過ぎたところで、身代金が入ったカバンを窓から投げ落とせ」という想定外の受渡し方法を指示される。
犯人は「7センチ以下の厚みのカバン」と指定してきていたが、それは「こだま」の車中で唯一、洗面所の窓が7センチ開くからだったのである。
(実際にトイレの窓の大きさはそうであった)
権藤は指示通りにやり遂げ、進一は無事に解放されるものの、警察は完全に裏をかかれ、身代金をすべて奪われて犯人にも逃げられてしまう。
あざやかな犯行。しかし、警察もだまってはいない。
戸倉警部(仲代達矢)率いる捜査陣は、進一の記憶や目撃情報、電話の録音などを頼りに捜査を進め、進一が捕らわれていた犯人のアジトを見つけ出すが、そこにいた共犯と思しき男女はすでにヘロイン中毒で死亡していた。
警察は、新聞記者に協力を頼み共犯者がまだ生きていると匂わせる情報を流す。
新聞記事を見た主犯は身代金受渡し用のかばんを焼却処分するが、カバンに施されていた、燃やすと牡丹色の煙を発する仕掛けが発動し、空に煙が上がる。
トランペットの音楽とともに煙突から桃色の煙が立ち上るシーン
モノクロ画面に煙だけカラーという表示には驚く。
のちに、スティーブン・スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」(1993年)でも使用された。
そして誰が焼却炉を使ったか調べて、ついに主犯が権藤邸の近所の下宿に住むインターンの竹内銀次郎(山崎努)という男であることを突き止める。
犯人の住むスラムである港町を見下ろす丘上の権藤邸という舞台が想起され、浅間台から黄金町を一望できる横浜が選ばれた。
(実際は浅間台から黄金町は三春台や野毛山に遮られ見えない)
黄金町はコワイとぎっちょさんに言ったら笑われましたが
黄金町、日出町を通る電車におそるおそる乗ったのは今から数年前でした。
この映画の公開の翌4月には都内を中心に誘拐事件が多発した。
1963年の吉展ちゃん誘拐殺人事件の犯人も、この映画を見たという。犯行は単純だったが偶然に助けられ犯人はしばらく捕まらなかった。
国会でも問題として取り上げられ、1964年の刑法一部改正(「身代金目的の略取(無期または3年以上の懲役)」を追加)のきっかけになった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%9B%BD%E3%81%A8%E5%9C%B0%E7%8D%84_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
麻薬の受け渡しの場面も怖かった。(伊勢佐木町?)
横浜って恐ろしいという印象を私に与えた映画でした。