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[No.2355] ベルルスコーニ首相の策略 投稿者:   投稿日:2006/04/10(Mon) 14:57
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 ベルルスコーニ、プローディ、と二人を比べると、商売人であるという点では、やはりベ氏がプ氏より数等上であるように思う。投票風景でも、高齢の母親と一緒に会場に現れ、マスコミのカメラに収まっている。また、選挙の直前に首相は、僧籍にあるわけでもないのに、カトリック倫理の大切さを訴えるなどして、巻返しを図っているという。つまり、首都ローマに、カトリックの大本山、ヴァティカンがあるのを計算の上の発言なのだ。

 これはプローディ陣営には、ケッコウ大きな打撃になる。もともと、寄せ集め軍団なので、色々な主張立場の人間を多数抱え、未婚や同性のカップルを認めざるを得ない。こうしたアキレス腱の問題が選挙の後半に来て、どう響くかが大きな問題だ。この点については、ヴァティカンは首相の立場に近い。

 何でも利用、というのは勝利の秘訣、という考えからか、首相は自分が主人公の映画「カイマンワニ」についても、それを選挙に利用しようとしている。この強かさが、不器用なプローディ氏の票を奪いやしないかと、危惧される。まだニッポンで公開されないので、内容は分からないが、これは、独裁者といわれ、自らをナポレオンに擬えて得々とする、ベ首相を痛烈に風刺した映画になりそうだ。

 そもそも、イタリアには、フルボ(狡猾さ)という言葉があり、これがニッポンと違って、マイナスのイメージでなく、むしろプラスのイメージとして、昔から市民権を持っている。そういう国では、どんな方法でも勝てば官軍、ともいえる。なにしろ、マキャベッリを生んだ国だ。人々は朝から晩まで、古い中世の壁の匂いを吸って生きているのだ。

 * カイマンワニというのは、以前から首相の仇名であるようだ。
 * 映画「カイマンワニ」は、カンヌ映画祭でパルムドール賞を獲った、イタリアのナンニ・モレッティ監督の意欲作である。