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[No.138] 三倍増醸酒 投稿者:男爵  投稿日:2010/12/09(Thu) 09:36
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日本酒の話です。

元来日本酒はすべて米と麹と水で造られる酒
いわゆる「純米酒」だった。(ドイツのビールが麦芽とホップと水で造られるのと対応している)

ところが日中戦争、第二次世界大戦中、中国・満州に進攻した軍などの要望もあって
米不足の中でも酒ができないかと研究された結果、純米酒に醸造アルコールを加えて量を増やす技術が開発された。
「増醸酒」後にいう「アルコール添加酒」の誕生だった。

米不足は戦後もしばらく続き、1949(昭和24)年には当局の強い指導で酒をさらに増量する製造法が試験的に始まり、数年の間に全国に広まった。
米だけから造り出すアルコールの約二倍の醸造アルコールを加えるため、できあがる酒の量は三倍に増えることから「三倍増醸酒」、略して「三増酒」と呼ばれる。
大量のアルコールによって辛く薄っぺらになる酒に対し、あらかじめ醸造アルコールに水あめや乳酸、グルタミン酸ソーダなどの調味料を加え、味を整えるのが大きな特徴である。

三増酒が奨励された背景には、米不足を補い、国税全体の二、三割を占めていた酒税を確保したい国の思惑があった。もの不足の時代、造り酒屋にとってはやむにやまれぬ事情があった半面、売る量が増え、飲み手にとっては酔えれば何でもいいという欲求とも合致した。三増酒はすぐに親ともいえる純米酒を駆逐する。

こうして日本酒は本来の道からはずれ、出口の見えない袋小路に入り込んでいった。

ようやく2006(平成18)年になってから、酒税法が改正され、三倍増醸酒は「リキュール」扱いとなり、日本酒、清酒としては販売することができなくなった。
日本酒を名乗るためには、それまで白米と同量認められていた醸造アルコール、混ぜ物の合計が半分までに制限された。
(醸造アルコールが添加されていないのは純米酒、純米吟醸酒などであり、吟醸酒も大吟醸酒も本醸造酒も特別本醸造酒もみな醸造アルコールが添加されているのに注意)
    参考文献は冨樫茂:南部杜氏の詩、河北新報出版センター、2010


[No.163] にごり酒 投稿者:男爵  投稿日:2010/12/10(Fri) 21:33
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> 日本酒の話です。

> 「増醸酒」後にいう「アルコール添加酒」の誕生だった。

> 米だけから造り出すアルコールの約二倍の醸造アルコールを加えるため、できあがる酒の量は三倍に増えることから「三倍増醸酒」、略して「三増酒」と呼ばれる。

こうした
水増しの三倍増醸酒のほかに
手作りの酒がありました。
伝統文化保存としての自家製酒
しかし
当局は密造、脱税として
無粋にも取り締まりました。
 (このへんは伝統の物差の曲尺とか尺貫法を禁止した役所と似ています。文化を大切にしない国や民族は滅びます。 というのは私よりも真の文化人が言っていることですが)

戦後の各家庭で作っていた濁り酒の記憶はあります。
しかし、飲むチャンスはありませんでした。

島崎藤村の「千曲川旅情の歌」を思うたびに、濁り酒が飲みたくなります。
冬に飲むものです。


[No.165] Re: にごり酒 投稿者:ナッツ甲  投稿日:2010/12/11(Sat) 17:08
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家庭で作られていた甘酒の製造は犯罪ではなかったのでしょうね。

> 戦後の各家庭で作っていた濁り酒の記憶はあります。
> しかし、飲むチャンスはありませんでした。

小学校5年のときだったか、学校の実習で甘酒を作りましたよ。作った私達は飲ませて
もらえませんでしたが、あれは先生が飲みたくて実習したのかも・・・(^^ゞ

ちなみに、甘酒は、ごく普通にあちこちの家庭で作られていて、私は好きでした。

同じ頃、ぶどうを焼酎に漬け込んだぶどう酒?作りも盛んでしたが、あれは密造酒だっ
たかもしれません。何か、こっそり、という感じで作られていました。

それとも、ぶどうの焼酎漬けではなくて、ぶどうを発酵させて作っていたのでしょうか。子供の頃の記憶なのであいまいです。


[No.166] Re: にごり酒 投稿者:男爵  投稿日:2010/12/11(Sat) 19:53
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ナッツ甲さん  こんばんは

> 小学校5年のときだったか、学校の実習で甘酒を作りましたよ。作った私達は飲ませて
> もらえませんでしたが、あれは先生が飲みたくて実習したのかも・・・(^^ゞ
>
> ちなみに、甘酒は、ごく普通にあちこちの家庭で作られていて、私は好きでした。

この甘酒は酒粕でつくるのでしょうか。

> 同じ頃、ぶどうを焼酎に漬け込んだぶどう酒?作りも盛んでしたが、あれは密造酒だっ
> たかもしれません。何か、こっそり、という感じで作られていました。

天然のヤマブドウのシュースもしばらく置いておくと
ワインになるはずです。

ロシアのウォッカも原料は砂糖水だといいます。
その地域に存在する酒酵母が知らないうちに活躍して
酒を造るのだと思います。


[No.172] Re: にごり酒 投稿者:ナッツ甲  投稿日:2010/12/12(Sun) 11:45
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男爵さん

> > ちなみに、甘酒は、ごく普通にあちこちの家庭で作られていて、私は好きでした。
>
> この甘酒は酒粕でつくるのでしょうか。

酒かすで作る簡易甘酒なら、昔も今も何の問題もないはず。

もちろん、お米と麹から作る本格的甘酒です。仕込んで、布だか毛布だかでくるんで
掘り炬燵で保温して作っていたようです。

地元では、甘酒とも言いますが、アマカイ、つまり甘粥と言っている家も多かったです。まさに、甘いお粥ですね(^^ゞ

> 天然のヤマブドウのシュースもしばらく置いておくと
> ワインになるはずです。

なるほど、するとあの密造酒は簡易ワインではなく、本格的なワインだった可能性が
大ですね。


[No.169] Re: にごり酒 投稿者:   投稿日:2010/12/11(Sat) 20:24
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> 家庭で作られていた甘酒の製造は犯罪ではなかったのでしょうね。
>
>
> 同じ頃、ぶどうを焼酎に漬け込んだぶどう酒?作りも盛んでしたが、あれは密造酒だっ
> たかもしれません。何か、こっそり、という感じで作られていました。
>
> それとも、ぶどうの焼酎漬けではなくて、ぶどうを発酵させて作っていたのでしょうか。子供の頃の記憶なのであいまいです。

私にもこのような思い出はあります。もちろん家では両親もいなく、作りません
でしたが、まさに密造酒だったはずです。
近所の大人たちがそう言いながら、ぶどうを漬け込んでいたように思います。


[No.171] Re: にごり酒 投稿者:男爵  投稿日:2010/12/11(Sat) 20:37
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あやさん

> 私にもこのような思い出はあります。もちろん家では両親もいなく、作りません
> でしたが、まさに密造酒だったはずです。
> 近所の大人たちがそう言いながら、ぶどうを漬け込んでいたように思います。

それっ、隠せ
なんて言いながら対応していたのをちょっとだけ
記憶しています。

あとで時間があったら
宮沢賢治の
密造酒を調べる
税務署長の童話を紹介したいと思います。
もっとも、これは戦争前の話ですが。


[No.179] Re: にごり酒 投稿者:   投稿日:2010/12/12(Sun) 19:52
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男爵さん

>
> > 私にもこのような思い出はあります。もちろん家では両親もいなく、作りません
> > でしたが、まさに密造酒だったはずです。
> > 近所の大人たちがそう言いながら、ぶどうを漬け込んでいたように思います。
>
> それっ、隠せ
> なんて言いながら対応していたのをちょっとだけ
> 記憶しています。

なんかよくわかりませんでしたが、あまりおいしいものではなかったようです。

>
> あとで時間があったら
> 宮沢賢治の
> 密造酒を調べる
> 税務署長の童話を紹介したいと思います。
> もっとも、これは戦争前の話ですが。

待っています。


[No.183] 税務署長の冒険 投稿者:男爵  投稿日:2010/12/12(Sun) 20:27
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> > あとで時間があったら
> > 宮沢賢治の
> > 密造酒を調べる
> > 税務署長の童話を紹介したいと思います。
> > もっとも、これは戦争前の話ですが。
>
> 待っています。

あやさん
宮沢賢治は
1896年(明治29年)に生まれて、 1933年(昭和8年)に亡くなったのですから
戦争前の人ですが
それでも、密造酒の童話を作っているから
昔から密造酒をつくって脱税していた話はいっぱいあったのでしょう。

宮沢賢治はエスペラント語の講演を聞いて
自分もエスペラント語の勉強をします。
だから
彼は岩手のことをイーハトーヴォ(イーハトーヴ)と名づけたり
盛岡のことをモーリオと呼んだりしました。
 エスペラント語では地名はオで終わるのだとか。

この童話では職務に熱心な税務署長さんは
苦心して密造の現場をおさえようと
聞き込みをしたり、変装して酒を買おうとして
必死に動き回ります。
そして、とうとう密造酒の工場を見つけます。
しかし、庶民も必死ですから、あべこべに署長さんは捕まってしまいます。
とうとう縄で縛られた署長さん
どうしよう、殺してしまおうかなどと物騒な相談がはじまり
あわやというところで、部下が助けに来ます。

こちらてす。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1941_17444.html

この中に出てくる
ハーナムキヤの町とは花巻のことで
ユグチュユモトの村とは花巻温泉の入口に近い湯口地区のことです。


[No.184] Re: 税務署長の冒険 投稿者:   投稿日:2010/12/13(Mon) 21:56
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男爵さん、

早速に恐れ入ります。

> 宮沢賢治は
> 1896年(明治29年)に生まれて、 1933年(昭和8年)に亡くなったのですから
> 戦争前の人ですが
> それでも、密造酒の童話を作っているから
> 昔から密造酒をつくって脱税していた話はいっぱいあったのでしょう。
>
> 宮沢賢治はエスペラント語の講演を聞いて
> 自分もエスペラント語の勉強をします。
> だから
> 彼は岩手のことをイーハトーヴォ(イーハトーヴ)と名づけたり
> 盛岡のことをモーリオと呼んだりしました。
>  エスペラント語では地名はオで終わるのだとか。
>

ははぁ、イーハトーヴというのは聞いたことあります。
ここからきていたのですね。

>
> こちらてす。
> http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1941_17444.html
>

1日ボランティアで、やっと今、ここへ取り付きました。
開いてみましたが、丁寧に読むことはかなわず、飛ばし読みを
しました。漢字が面白かったのが印象的でした!
あとでゆっくっりと!!

> この中に出てくる
> ハーナムキヤの町とは花巻のことで
> ユグチュユモトの村とは花巻温泉の入口に近い湯口地区のことです。

なんか、面白い!