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[No.7349] あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2015/11/04(Wed) 10:52
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 「風土記」には『外村繁のこと』という章立てがしてあるので、井伏さんと外村さんはかなり親しかったように思えます。そこで、外村さんをマッタク無視するわけにも行かないと思い、青空文庫で取りあえず「打ち出の小槌」というのを読んでみました。

 あっしも、井伏さんの筆で☆、外村さんという人が、いかに子煩悩であるかということは、うすうすは知っていましたが、この文を読むに及んで、ますますその子煩悩ぶりを実感しました。これは、主として三男坊の洋クンのことを書いたものですが、

 ある日、外村家では、子どもたちが集まり、何が欲しい、という遊びをやり始めます。ひとりは飛行機、ひとりはお人形、最後に聞かれた三男の洋クンは、打ち出の小槌でしたが、打ち出の小槌はずるいヤ、ということで、

 これはみんなの反感を買ってしまいます。でも、三男坊は負けずに、小槌を振る真似をしながら、みんなの欲しそうなものを、次々に唱えます。「お城出てこいぽんぽんぽん、飛行機出てこいぽんぽんぽん。」みんなはとうとう、終いには腹を抱えて笑い出します。ここで終わればまあ、月並みですが、さすが読売文学賞の外村さん。

 締めは「すると、父さんは、小説出てこいぽんぽんぽんか」。日ごろ創作のタネ探しに苦労する小説家の本音が、行間にチラリ、覗いています。

 
 前回では幼馴染のI君のことを書きましたが、彼の高校時代、クラスメートにどうやら、この洋クンがいたようなのです。(年齢が符合します)だから、洋クンを通じて、I君は外村家のことを、いろいろと聞いていたのかも知れないのです。しっかし、

 洋クンが、子供のころ、ちゃっかり屋さんだったこと、勉強が嫌いだったこと、だらしない面もあったこと。こういうことを、事細かに書き残された上、青空文庫で日本中の人に、簡単に読まれてしまう。外村さんも、罪なことをしたものです。(^_-)-☆

                             (つづく)

 ☆「外村繁のこと」には、井伏さんが、阿佐ヶ谷の住人、小田嶽夫や青柳瑞穂の案内で外村家を訪問するくだりがあります。この時は外村さんは、生まれて間もない次男を膝に抱いていたのですが、赤ん坊の方も、お客さんが見えたので、何かひとつ、芸でもやらないとまずいとでも思ったのか、お父さんの膝の上に、お漏らしをしてしまいました。すると、外村さんは、機嫌を損ねるどころか反対に「うふっ、うふっ」と嬉しげに笑いながら、おしっこの水温を吟味しているかのように両手に受けた」といいます。「子供はちっとも泣かなかった。」そうでしょう、そうでしょう。子供にだって分かるのです。優しい父親というものは。

 その後、この次男の方は理学博士に。そうでしょう、そうでしょう。そうに決まっています。


[No.7350] Re: あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2 投稿者:マーチャン  投稿日:2015/11/04(Wed) 17:51
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>  ☆「外村繁のこと」には、井伏さんが、阿佐ヶ谷の住人、小田嶽夫や青柳瑞穂の案内で外村家を訪問するくだりがあります。

 青柳瑞穂さんは、有名なピアニストで作家の青柳いづみこのお祖父様なのですね。

 うーむ。やはり血筋ですね。


[No.7351] Re: あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2015/11/04(Wed) 22:28
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>  青柳瑞穂さんは、有名なピアニストで作家の青柳いづみこのお祖父様なのですね。
>
>  うーむ。やはり血筋ですね。

ピアニストであるだけでなく、エッセイスト。音楽学の方は博士号まで持つというからお爺さんよりずっと上。スゴすぎる。


[No.7352] Re: あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2015/11/05(Thu) 08:59
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> ピアニストであるだけでなく、エッセイスト。音楽学の方は博士号まで持つというからお爺さんよりずっと上。スゴすぎる。

小保方氏の博士号取り上げのニュースを聞いて一句、

 博士号 取り消されれば 白紙号  嗚呼。


[No.7360] Re: あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2 投稿者:あや  投稿日:2015/11/11(Wed) 09:31
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>
> > ピアニストであるだけでなく、エッセイスト。音楽学の方は博士号まで持つというからお爺さんよりずっと上。スゴすぎる。
>
> 小保方氏の博士号取り上げのニュースを聞いて一句、
>
>  博士号 取り消されれば 白紙号  嗚呼。


一句とあるけど、これも俳句のうちにはいるのかな?
一句というと俳句のことしか浮かばないです。
川柳も同じ5・7・5なので、同じか?
そんな程度のことしか言えなくてごめんなさい。

出も、嗚呼 が字あまりになるけど、いい川柳だわ。拍手!!!


[No.7361] Re: あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2 投稿者:あや  投稿日:2015/11/11(Wed) 09:33
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> >
> > > ピアニストであるだけでなく、エッセイスト。音楽学の方は博士号まで持つというからお爺さんよりずっと上。スゴすぎる。
> >
> > 小保方氏の博士号取り上げのニュースを聞いて一句、
> >
> >  博士号 取り消されれば 白紙号  嗚呼。
>
>
> 一句とあるけど、これも俳句のうちにはいるのかな?
> 一句というと俳句のことしか浮かばないです。
> 川柳も同じ5・7・5なので、同じか?
> そんな程度のことしか言えなくてごめんなさい。
>
> 出も、嗚呼 が字あまりになるけど、いい川柳だわ。拍手!!!

間違いやんした、

でも、嗚呼 が字あまりになるけど、いい川柳だわ。拍手!!!

でした。


[No.7385] Re: あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2015/11/19(Thu) 22:40
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Re: あっしには大いに『かかわりのあった』本 〜2
画像サイズ: 520×431 (82kB)
>  「風土記」には『外村繁のこと』という章立てがしてあるので、井伏さんと外村さんはかなり親しかったように思えます。そこで、外村さんをマッタク無視するわけにも行かないと思い、青空文庫で取りあえず「打ち出の小槌」というのを読んでみました。

先日、地元の図書館に依頼して置いた外村繁の「阿佐ヶ谷日記」というの、が船橋市の図書館からやっと届いた。だが、思っていたようなものでなく失望した。内容は、井伏さんの「荻窪風土記」とはマッタク違っていたのだ。

 暇な時に届かないで、野暮用のある時に受け取ったので、ゆっくり読むわけには行かなかった。昭和32年、講談社で出版した単行本で、表題は「外村繁全集第6巻」。

 本は返してしまったのでうろ覚えだが、なかは、父の思い出、小品随筆、評論、書簡、日記、阿佐ヶ谷日記、あとは年譜、解説と分かれていたように思う。

 この小品には、例の「打ち出の小槌」が含まれる。書簡は、アメリカへ留学した長男への手紙がはいっている。これが沢山あり、それぞれが面白い。


 また、書簡は日記風で、まさか後世の人が読むとは思わなかったであろうから、初めから終りまで、正直な気持ちが書き連ねてあって、ご本人にはお気の毒だが、まことに面白い。

 二月五日の項に、その日の朝刊に、外村氏が新聞を開いて見ると、自分の作品「筏」が芸術院賞候補になっていた。翌六日には散歩中、佐野さんという人に会い芸術院賞候補の話で盛り上がる。十一日には、その「筏」を八千部も増刷している。よっぽど、評判が良かったのか。ところが、

 二月二十八日のところを読むと「芸術院賞落第した。」と書き、「丁度それくらゐでよろしいのだろう。」とつづけ、さらに、「両手に花なんて一寸いやらしいもんな。第一僕らしくないよ、」と自らを慰めるかのような書き方をしている。

 これは長男へ送った手紙なので、くやしさをモロに表現することは避けたのではないか。もうひとつ面白いのは、長男への手紙に自作のクロスワードパズルが出て来る。これが懐郷自家言葉謎綾取とあって、これに(なつかしきわがやのクロスワードパズル)のルビが振ってある。次男の和夫さんとの共同製作であるが、クロスワードをつくるとはなかなかご立派である。

 これが家庭用で、よこの鍵に、君の好物だの、女子大時代の母を思はせる鳥、が出て来たりして、じつに微笑ましい。縦の鍵にも、父のケッ作、わが家に一人もないもの、なんてのがある。これは、よそ紋には、逆立ちしても、解けない態の難解パズルである。(^^♪