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[No.7505] 古きをたずねて新しきを知る〜4 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/02/20(Sat) 14:46
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絵描きと云い、アーチストという。これならまだ分かりよいのですが、仮に『画人』と云ったらどうでしょうか。

 ものはためし。小学校で「キミのおとうさんはサラリーマン?」と聞いて「ちがうね、おれの親父は、ガジンだよ」と答えたら、相手は目を丸くするでしょう。「エー?ほんと、キミのお父さんて、マジンガ―?マジンガ―Zなの?」という答えが返ってきてもおかしくありません。

 ジョルジョ・ヴァザーリの著書で、イタリアルネッサンスの絵描きの列伝のタイトルが「ルネサンス画人伝」となっていました。発刊は1982年なので、これはまあ、無理もありませんが…。

 このタイトルについては、いま出ているのでは、ルネサンスが取れて、ただ「芸術家列伝」となっています。画人といい、画工といいます。これらはいかにも、職人のにおいがしますが、芸術家となるとだいぶ社会的地位が高く感じられます。

  鴎外の「即興詩人」ではたしか、画工となっていたように思います。原題にあるpittoreは英語のpainterですから、芸術家というより、ただの絵描きだと思います。

 ま、なことはどうでもいいのです。で、ここで、ふたたび鴎外の「椋鳥通信」に戻ると、

 あっしは、こんな風に思うのです。現在はあっしが、仮にイタリアルネッサンスと書けば、読者はふつう、すぐウィッキーさんのページに向かいます。そして、一瞬にしてイタリアルネサンスのアウトラインを知ります。

 マリネッティについても、あっしらは、美術史を読んで知るばかりですが,鴎外は、欧州派遣記者よろしく、即情報をキャッチ、書きとどめています。もちろんただ書きとどめるだけでなく、鴎外自身の印象や批評も書き加えているのです。こういう素早い最新の情報処理は、大げさに言えば、現在のネットサーフィンにも、繋がるものではないでしょうか。

 ほかの作家で、文壇ニュースを含め、こういったニュ―スの速報性に着目したものは、皆無に等しいのでは、ないでしょうか。

 そういう文化的なものばかりでなく、ごく三面記事的なものも、なかなか面白いものが載っています。☆たとえば、こんな記事はどうでしょう。

 あるイタリアの商人の妻が、若い男と駆け落ちをした。しかし、親戚が動いて、何とか妻を連れ戻すことに成功。そのご、二人は一応よりを戻す。ところが、そのあと、仲直りの記念にと、二人で芝居を見に行ったところ、生憎、芝居の筋書きが、駆け落ち劇を扱ったものだったようです。男は自宅へ戻ると、すぐさま拳銃で妻を射殺、そのあとすぐ自殺したという。 (つづく)

  ☆ 講談社エッセー賞などを受賞した、内田洋子さんの本に「三面記事で読むイタリア」がある。


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