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[No.661] イタリアの『だんご三兄弟』 投稿者:   投稿日:2011/12/19(Mon) 19:47
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サッケッティの「巷談集」の際出た、ブッファルマッコと云う人物は当時有名だった人物らしく、調べてみると、たとえばボッカチオの「デカメロン」にも少なくとも五度はでている。

 第8日目の第3話、おなじく第8日目の第6話、第9話、それから第9日目の第3話、第5話である。

 この人物が一体どんなことをしているかというと、碌なことはしていない。悪友のブルーノとつるんで、友人のカランドリーノから金をだまし取る、さらには医者のシモーネをからかって、汚物の中に突き落したり、その医者を悪用してカランドリーノから、薬代などの名目で金銭をまきあげる。三人ともに絵描きの仲間だそうだが、なぜこういう付き合いからいつまでも足を洗えなかったのか、じつにフシギだ。

 いつも、やられっぱなしで、いいところがないなら、思い切って交際を絶てばよさそうなものだが。

 「デカメロン」であっしの一番すきな話は、第8日目第3話で、これは前記のカランドリーノが、街の悪戯好きの男に騙されて、あるはずのない魔法の石、エリトロピアを探しに行く話。

  こんないい話をポン友に隠しておけなかった、根っからのお人よし、カランドリーノは、友人ふたりもこの宝探しツアに誘う。運よく、石は見つかり、カランは日頃の行いが良かったのか、なんの値打ちもない重い石を、たくさん山から持ち帰る。

  石の御利益で自分の姿が他人に見えず、文字通りの透明人間になれたはずが、あっさり見破られたので、家で夫人に当たり散らし、ふたりの友人にも散々からかわれる。

 この三人は実在の人物らしく、カランドリーノなどは、たとえば「デカメロン」の訳者、野上素一氏*によると、「芸術家列伝」の著者、で美術史家、ジョルジョ・ヴァザーリの書き残したものの中でも触れられているという。当方未見。


*野上弥生子の長男。小松左京の師。

★ブッファルマッコについては、あっしはブッファ、つまりオペラブッファにみられるように、ブッファには、おどけた、とかふざけたなどの意味があるとされているので、オペラブッファ(喜歌劇と訳されることもある)の登場人物をイメージしたニックネームのように思われる。ただし、この項未確認。


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