[No.743]
日本の宗教の未来
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/24(Sat) 08:01
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日本は中国から多くのことを学んできた。
仏教もそのひとつである。
大乗仏教と小乗仏教、顕教と密教、いろいろな宗派や教義がある。
そして、日本人が仏教から受け取ったものは、無常観と浄土観ではないだろうか。
それに加えて、「空」とか「無」の考え方に強く引きつけられたのだと思う。
儒教の教えの中から受け取った一番重要なものは、自己修養ではなかったろうか。
身を修めること。自己訓練といってもいい。
キリスト教の場合は、近代西洋の思想として、個人主義を
新しいものとして受け入れたのではないか。
それらの、「無常観、浄土観、空、無」「自己修養」「個人主義」を積極的に受け入れ、それらをうまく重層化させた。
そして、それらの3系統の思想を意識の底で支えているのが神道的な感覚ではないだろうか。
神道というのは、宗教ともいえず、思想ともいえず、極度に柔らかな自然感覚でみたされた世界である。
この柔軟なかつ自然との神道的共鳴感覚、これが日本人の世界観の特徴であろう。
神道は日本古来のものであり、一種のアミニズムともいえる。あるいはシャーマニズムと重なる領域もある。
(シャーマニズムは日本だけでなく、韓国やモンゴルや満州族にも見られるものである)
天地万物に神が宿るという考え方。 教祖も教義もない。みようによっては多神教、あるいは汎神教。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のように一神教からすれば、無神論的世界とされるかもしれない。
いわば日本教。
しかし、この日本教にひそむ多元的価値の「共存」ということを考えるなら、
最近の地球環境の問題やエコロジーの思想にみられる「共生」は
まさに日本の宗教世界における多元的思想の共存の伝統の正当性を
認めることにはならないだろうか。
地球上では、宗教や民族の違いによる紛争や戦争がおこっている。
外国の宗教ではそれらの争いは解決できないようである。
少なくとも攻撃的な自己主張をする宗教は、21世紀をみちびく宗教
たりえなくなっているように思われる。
人類の普遍的宗教が生まれるとしたら、日本の伝統的なパランスのとれた宗教感覚が、新しい世界宗教の創設にあたって一つの貢献をはたすのかもしれない。
(おもしろい考え)