[掲示板へもどる]
一括表示

[No.472] 神様の伴走者 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/07(Wed) 07:31
[関連記事

神様の伴走者 手塚番13+2

漫画の神様手塚治虫にも
編集者という陰の伴走者がいた。

手塚治虫は原稿の上がりが遅いことで有名。
さんざん待たされたあげく、結局締め切りに間に合わず
渡された原稿を引きちぎり、「もう間に合わないんだよ!」と
ひと声吠えて、そのまま会社をやめた手塚番がいたという噂も
この世界では流れている。

この本は13人の手塚番とわきで見ていた二人(松谷孝征マネージャーと藤子不二雄)に
インタビョーしてできた本である。
「ビッグコミック スペシャル増刊」と「ビッグコミック1」
に掲載したものを手直ししてまとめた。


[No.473] Re: 神様の伴走者 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/07(Wed) 08:07
[関連記事

> 手塚治虫は原稿の上がりが遅いことで有名。
> さんざん待たされたあげく、結局締め切りに間に合わず
> 渡された原稿を引きちぎり、「もう間に合わないんだよ!」と
> ひと声吠えて、そのまま会社をやめた手塚番がいたという噂も
> この世界では流れている。
>
> この本は13人の手塚番とわきで見ていた二人(松谷孝征マネージャーと藤子不二雄)に
> インタビョーしてできた本である。

藤子不二雄は藤本が亡くなったので、インタビューでは我孫子素雄が一人で回想している。
トキワ荘に手塚治虫を訪ねていった時、外出する手塚は
あとを寺田に頼んだから、我孫子はそのまま寺田の部屋に泊まってしまった(手塚治虫は待てど暮らせど戻ってこない)。

その次にトキワ荘に行ったとき、編集者が手塚の原稿のべた塗りをしているのを見て
代わりにすることを申し出たら手塚が喜んだ我孫子に頼んだ。
それから何度も手塚のアシスタントをしているうちに
編集者との葛藤の場面を見た。

上に紹介したのは壁村編集者のことで
のばしのばしして12時になんとかできると手塚が言ったが
やはりできず12時にかかってきた電話に
手塚は「いや、ちょっと悪いけど、2時にはなんとか」と言った。

原稿は1時半にはできていたのだが
2時になって壁村が部屋に入ってきて
手塚が両手で差し出した原稿を壁村は受けとると
しばらく見てから「もう間に合わない!」って叫んで
パァーッと原稿を部屋中に巻き散らかした。

壁村は帰り、残された手塚は呆然としていた。
原稿が部屋中に舞っている。我孫子もベッドから起きていいものか
薄目をあけて見ていたら、手塚は原稿を拾い集めて何か唸っていた。

しかし
その後も壁村は手塚番として手塚作品を起用し続けた。
腹が立ったらハサミを投げつけることもあったとか。
要するに愛憎が深かった。


[No.475] Re: 神様の伴走者 投稿者:男爵  投稿日:2011/12/07(Wed) 11:42
[関連記事

> トキワ荘に手塚治虫を訪ねていった時、外出する手塚は
> あとを寺田に頼んだから、我孫子はそのまま寺田の部屋に泊まってしまった(手塚治虫は待てど暮らせど戻ってこない)。
>
> その次にトキワ荘に行ったとき、編集者が手塚の原稿のべた塗りをしているのを見て
> 代わりにすることを申し出たら手塚が喜んだ我孫子に頼んだ。

「少女クラブ」の丸山昭元編集長が
トキワ荘に集まった多くの作家を育てた功績で
手塚治虫文化賞の特別賞をうけたとき
赤塚不二夫に言われた。
「『少女クラブ』が売れなくて、みんなが描かないもんだから、丸さん、苦し紛れに俺たちに描かせたんだ」

半分あたっている。
丸山はいう。僕は育てたりしてませんから、自分で勝手に伸びてったんですよ。
褒められていいと思うのは、あの連中にページを割きつづけたってことでね。
テーマや方向性は事前に打ち合わせしますが、あとはまったくのおまかせで
連中は僕のいうことをハイハイって聞いて、描いてくるのは、一見それ風に
見えるんですが、実は自分の描きたいもの、しっかり描いてるんですよ。
でも、できがいいから許しちゃう。

僕がラッキーだったのは、新人漫画家の出やすい時期に編集者やってたこと。
才能に恵まれた選りすぐりの人たちが、たまたま僕の近くに集まってきたこと。
漫画のことあんまり知らないで、連中に勝手なことさせてしまったこと。
そういう条件が重なって、意外な好結果が生まれたんでね。

   ○    ○

「龍神沼」は「昭和36年(1961)」の「少女クラブ」の「夏休み増刊号」に掲載された作品であるが
当時のことをふりかえって
石森章太郎はよく新人漫画家に新しいものを描かせてもらえたと感謝する。
他の雑誌ならああしろこうしろと一方的な注文が多い。
なのに「少女クラブ」はわりあい好きなことができた。
彼にしてみれば新しい実験をいろいろやることができたという。

そして
そのことはちゃんと反映された。
石森がさいとう・たかをたちと漫画家のパーティで飲んでいるとき
石森の回りにだけ里中満智子などの女流漫画家が集まってくるのだ。
それを見て、さいとう・たかをは面白くない。なぜ石森だけもてるのだ。

さいとう・たかをにしてみれば石森章太郎も自分も漫画週刊誌の人気漫画家で
同じような存在だと思っている。
しかし、石森章太郎には「少女クラブ」時代があったのだ。
そして読者たちは、母ものや少女漫画特有の乙女の恋愛ものには飽きて
石森の新しいテーマや技法に新鮮なものを感じていたのだ。

石森たち男性漫画家(赤塚不二夫や藤子不二雄なども含まれる)の新しい少女漫画の世界に目覚めた読者の中から
新しい女流漫画家たちが生まれたということなのである。

これは石森章太郎や里中満智子などの本に、裏付けとなることが書かれてある。