[No.473]
Re: 神様の伴走者
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/07(Wed) 08:07
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> 手塚治虫は原稿の上がりが遅いことで有名。
> さんざん待たされたあげく、結局締め切りに間に合わず
> 渡された原稿を引きちぎり、「もう間に合わないんだよ!」と
> ひと声吠えて、そのまま会社をやめた手塚番がいたという噂も
> この世界では流れている。
>
> この本は13人の手塚番とわきで見ていた二人(松谷孝征マネージャーと藤子不二雄)に
> インタビョーしてできた本である。
藤子不二雄は藤本が亡くなったので、インタビューでは我孫子素雄が一人で回想している。
トキワ荘に手塚治虫を訪ねていった時、外出する手塚は
あとを寺田に頼んだから、我孫子はそのまま寺田の部屋に泊まってしまった(手塚治虫は待てど暮らせど戻ってこない)。
その次にトキワ荘に行ったとき、編集者が手塚の原稿のべた塗りをしているのを見て
代わりにすることを申し出たら手塚が喜んだ我孫子に頼んだ。
それから何度も手塚のアシスタントをしているうちに
編集者との葛藤の場面を見た。
上に紹介したのは壁村編集者のことで
のばしのばしして12時になんとかできると手塚が言ったが
やはりできず12時にかかってきた電話に
手塚は「いや、ちょっと悪いけど、2時にはなんとか」と言った。
原稿は1時半にはできていたのだが
2時になって壁村が部屋に入ってきて
手塚が両手で差し出した原稿を壁村は受けとると
しばらく見てから「もう間に合わない!」って叫んで
パァーッと原稿を部屋中に巻き散らかした。
壁村は帰り、残された手塚は呆然としていた。
原稿が部屋中に舞っている。我孫子もベッドから起きていいものか
薄目をあけて見ていたら、手塚は原稿を拾い集めて何か唸っていた。
しかし
その後も壁村は手塚番として手塚作品を起用し続けた。
腹が立ったらハサミを投げつけることもあったとか。
要するに愛憎が深かった。