[No.528]
サンデーとマガジン
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/12(Mon) 19:12
[関連記事] |
大野茂:サンデーとマガジン、光文社新書400
昭和30年代に全国的な漫画批判があった。
漫画ばかり読んでいると馬鹿になる。
1955(昭和30)年1月21日
第四回青少年問題全国協議会で、「青少年に有害な文化財に対する決議」が行われる。
それを受けて、翌22日、時の内閣総理大臣鳩山一郎が、衆議院本会議の施政方針演説で、以下のような発言をした。
(前略)覚醒剤、不良出版物等のはんらんはまことに嘆かわしい事態でありますが
特にわが国の将来をになうべき青少年に対して悪影響を与えていることは
まことに憂慮すべきことであります。政府としては、広く民間諸団体の協力を
得まして、早急にこれが絶滅のため適切有効な対策を講じ、もって明朗な
社会の建設に邁進したいと存ずるのであります。(後略)
鳩山は不良出版物が具体的に何であるかは言及していない。
しかし、この鳩山発言をすぐに新聞が取り上げ、「悪書追放運動」は各地に飛び火し、燃え広がることになってしまう。
運動が全国に広がる過程で、抗議行動は次第に過激さを増し、ある小学校ではマンガを校庭で焚書するなどの行為にまでエスカレートしてしまう。
実際に火をつけて燃やされた本のなかには、手塚治虫の代表作である「鉄腕アトム」までもが含まれていた。
「俗悪なマンガから子どもたちを守らなければならないっ!」
と声高に叫ぶ教育ママたちに対し手塚は
「活字文化が、子どもたちの精神的成長の上で主食としての役割を果たすことは当然としても、子どもたちはオヤツも必要だ。マンガは、そのオヤツとして認められてもいいのではないか」と反論を繰り返した。
同じようなことを明治末にも言われたことがある。
ーーーーーーー
マンガは悪書だと騒がれていたその時から半世紀ほど前
今から遡ること100年ちょっと前、明治末期の新聞にこんな記事が載せられていたという。
近年の子供は、夏目漱石などの小説ばかりを読んで漢文を読まない。これは子供の危機である。
歴史は繰り返される。文豪の作品もまた、悪書だったのである。