[No.580]
中国の悲しい遺産
投稿者:男爵
投稿日:2011/12/15(Thu) 17:02
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文化大革命についての本は他にも同時進行で読んだので
身につまされる思いがした。
彼らは生まれたときから、常に毛沢東主席だけが、中国と中国人民にとって何が最善なのかを
知っているのだと信じ込まされてきたのだ。
自分の頭で考えるのではなく、集団思考するように教育されてきたのだ。
マルクス、レーニン、なかんずく
毛沢東の教義をどれだけ強く信じているかが自らの価値の証だと思い込まされてきたのだ。
閉ざされた世界に住み、偉大なる指導者の手下たちが言うことだけが唯一の情報だった。
事実、彼らは、アメリカを支配しているのはKKKであるとか、台湾は非常に貧しくて
バナナの葉ぐらいしか食べるものがないとか、中国はこの世で一番いい国で、世界中の労働者の羨望の的であるなどということを信じていた。彼らは若かったのだ。
その結果、毛沢東が志願兵を募ると、みなわれもわれもと先を争って志願した。
毛沢東を崇拝し、大声で毛沢東語録を唱え、大切なものをすべて捧げた。
そして、天と地をひっくり返す聖戦に身を投じたのである。
指導者を決して疑わずひたすら従う姿。
それは戦前の日本を連想する人もいるだろうし、平壌を連想する人もいるだろうし、例のサリン事件を起こした教団を思い浮かべる人もいるかもしれない。
いかに客観的にものごとを見て自分の頭で考えることが大切なことか。
(ベティ・パオ・ロード、金美齢訳、中国の悲しい遺産、草思社)