[No.522]
Re: 白金豚
投稿者:男爵
投稿日:2013/02/26(Tue) 07:50
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あやさん、みなさん こんにちは
> > どうして白金豚と名付けたのか?
> > その理由は、やはり、宮沢賢治でした。
真面目な会社のHP
http://www.meat.co.jp/hakkinnton/index.html
フランドン農学校の豚
「ずいぶん豚というものは、奇体(きたい)なことになっている。水やスリッパや藁(わら)をたべて、それをいちばん上等な、脂肪や肉にこしらえる。豚のからだはまあたとえば生きた一つの触媒(しょくばい)だ。白金と同じことなのだ。無機体では白金だし有機体では豚なのだ。」
> > この学生の褒め言葉を聞いた豚は、自分は白金と同じ価値があるのだと
> > 嬉しくなります。しかし、その誇らしく感じたのはつかのまのこと。
> > やがて豚に不幸が訪れるのですが、この宮沢賢治のブラックユーモア的な童話
> > にもとづく白金豚と聞けば、私はちょっと複雑な思いでした。
こちらに原文があります。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4601_11978.html
化学反応で活躍するのが触媒
白金も触媒の一つ。
さて、生物の体内で触媒の働きをするのは酵素です。
酵素と言えばまず思いつくのはお酒やビールをつくるときの酵母ですね。
そして
このフランドン農学校の豚に出てくる
藁を食べて肉をつくる豚の生命力のすばらしさは
豆科植物の根にある根粒菌を思い出します。
空中窒素を固定する働き。ここにもやはり、ある種の酵素が活躍するのでしょう。
藁を食べて肉ができる豚なら、牧草を食べて肉をつくる牛だって、草を食べて肉になる羊だって、みんな不思議です。やはり、触媒ならぬ酵素の働きで草の成分から肉をつくるわけです。
人間は体内でタンパク質を合成できないから、アミノ酸を食物から得て、体のタンパク質をつくるのです。
草から肉をつくるのはわかりましたが、このフランドン農学校の豚は悲劇に襲われるのです。
豚は丸々と太って、そろそろ食肉にされる日が近づいてきた。
ところで、豚に関してはひとつの布告が発令されていた。
それは家畜撲殺同意調印法といって、家畜を殺すには家畜自身の死亡承諾書が必要だった。
豚から死亡承諾書をとるのは校長の役目である。
校長は機会をうかがって豚を説得し、承諾書に判を押させようとする。
最初は校長も丁寧に豚が家畜死亡承諾書の手形スタンプを押すことを頼んでいたのだが
なかなか豚がいうことをきかない。
そして時間はどんどんすぎて、もうこれ以上待てないというときになって
今まで世話してきたのだから、この書類に手形のスタンプを押さないとどういうことになるかと
最後通牒的に校長が迫ってきたので、とうとう豚は涙とともに承諾書にスタンプを押したのでした。
これは宮沢賢治が盛岡高等農林学校で、実習で飼育していた豚を解体して、みんなで食べた経験をもとにしてつくった童話らしい。
美味しい豚肉でも、食べられる豚の気持ちを考えたことがあるかというのが、賢治の言いたいことであったろうか。
宮沢賢治はベジタリアンだったという。
ある時期、肉はいっさい食べなかったのだが、どうもそれでは元気がなくなったといって
豚肉を食べたという。宮沢賢治は美味しそうにトンカツを食べたという目撃情報もあるのだが、これは調べてみないと確認できません。
鶴田静;:ベジタリアン宮沢賢治
この本には、ベジタリアンの宮沢賢治が、しばらく肉食しなかった後に、元気を出すため肉食したという経験を述べて、そのあとに賢治はやはり肉食しても、ベジタリアン時代の気持ちとそう変わらないことろを確認して、肉食の必要性を認めず、再びベジタリアンに戻ったと書いてあります。
しかし、この著者がベジタリアンなので、賢治の望ましい姿として描いているのかもしれません。
本当の賢治はどうだったのであろうか。
ベジタリアンといっても、お米やパンや野菜を食べるのですから、植物の命をうばっているわけです。
動物は食べてはいけないが、植物は食べていいというのは、ひとつの線引きをしているわけで、動物も植物も生きものであるから、ベジタリアンでも命をうばっているわけです。