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わらび粉をつくる村
大野郡朝日村は飛騨の東部にある。 (合併により2005.02. 01から高山市になった)
わらび粉以外はこれといった換金作物がないので、村人は労力のほかにはあまり経費のいらない「わらび粉」(はな)の生産に従事し、季節になると家中が睡眠時間を割いても山の水車小屋に泊まり込んで働く。
わらび粉は食料として自家消費もする。それはおもに二等品の「黒ばな」と呼ばれるものである。もっとも、大部分は販売し、食料や日用品の購入にあてる。「白ばな」と呼ばれる一等品の方は、主として織物や和傘の糊、菓子の原料として売られる。
わらびは春秋の二期に採掘する。春は、雪が解ける四月中旬から六月初旬まで。秋は、九月中旬から十月下旬の初雪のころまでである。 朝日村、高根村とも男は出稼ぎが多く、わらび粉の製造を担うのは女子である。
採掘用具は、備中鍬(ぐわ)、または唐鍬(とうぐわ)を用い、深さ七寸ないし一尺程度の土をわらび山の一隅から順次掘り返し、わらびの根を採取する。一人一日の採取量はほほど十四貫から二十貫を標準として採取する。 1尺=30.3cm 4貫=15kg
採ってきたわらび根は水洗いして、たたき槌で根を砕く。 十分に砕いた根は一晩ねかせておく。前日砕いてねかせた根をでんぷん質と粉がす(不要物)にだいたい分離してから、はな桶に入れて水を加え沈殿させる。
わらび粉の製造過程ででんぷんが沈殿するさい、細かい根の皮の混ざった灰色の部分と、まっ白な部分に分離する。 灰色の部分を黒ばな、白色の部分を白ばなという。
はな桶からでんぷんをおこし、こぶし大に砕き、枠のついた浅い木箱に入れ、日陰で乾燥すると、はなができる。
黒ばなを使う料理 ねりもち 黒ばなばかりだと、できあがりがゴムのりのような感じなので、そば粉やかわらべ(小麦のかす)を混ぜる。水を加え適当な柔らかさによく練り、なべで焼く。 焼き上がったものをもちのように切り、きな粉、砂糖、塩などをつけて食べる。 いりばなもち 黒ばなに炒り豆(大豆)を入れ、ねりもちの要領で焼く。豆が入っているので香ばしい。
白ばなの料理 はくらん 白ばなを水で溶いて生で飲むと、解熱剤となる。 白ばな湯 白ばなを少しの水で溶き、よく混ぜて、熱湯をかけながらはしでかき回す。病院食として重宝がられる。 とくに胃腸の悪い時の食事である。 (私は、片栗粉があれば、いつでもこの食べ物をつくって食べることができます)
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