ワークショップ4


        ネットワーカーズの活動促進を考える  
                  〜ターネットでビジネスを創出する〜



コーディネータ  
  布上 太三   メロウ倶楽部 幹事
【ワークショップの狙い】
・IT革命は、産業革命以来の経済社会構造の変革である。
 農業社会→工業化社会‐‐→情報化社会へ
・日本は、農業社会から工業社会への転換はうまく乗り切った。
 しかし、工業社会から情報化社会への転換では、苦戦中である。
・IT革命を、ひとつの側面から見ると、「起業革命」である。
 起業が、国境、社会的な枠組み(規制など)を超えて、あるいは、壊しなが
 ら進んでいる。
・起業の主役も多様化し、若年層から高齢者層に、また主婦層にも広がりつつ
 ある。更に、コミュニティを基盤とした起業の動きも活発化している。(欧
 州の社会的企業の例)
・第4分科会では、高齢者による起業、および、コミュニティを基盤とした起
 業の実例報告をベースに、IT革命を「起業」の側面から捕らえることを試
 みた。
事例発表     
  坂井 廣   (株)ナンバーアイ 
            代表取締役社長
・定年退職の翌日会社を設立し、釣り情報サイト「まんぼうネットワーク」を
 運営。閲覧は無料であるが、一ヶ月420万のアクセスがあり、広告収入等
 を得る。
・情報ビジネスは、まずマーケティング。客が欲しい情報、そこでしか見れな
 い情報を提供することである。
・インターネットビジネスは、甘いものではない。パソコン一台あれば簡単に
 儲かるというような認識ではダメ。例えば、月の売上が10万円以下という
 バーチャルショップが99%、というのが現実である。
・定年後は、知識・経験資金、時間等の点で、若いときよりはるかに有利であ
 る。売る人、買う人、運営する人、の3者が喜ぶシステムが必ずある。
・「好きな時間だけ働きたい」「借金を背負いたくない」「お金を使いたくな
 い」。このような姿勢では成功は難しい。
・ネットビジネスでは、関東圏の、20代〜30代をターゲットにするのがよ
 い。これからは、iモードや携帯電話からのアクセスを念頭におくことが必
 須である。
・ニュービジネス創生研究会(シニアの起業支援システム)
 ノウハウや人脈を提供する。一般に起業には1000万円程度の資金が必要
 だが、それを1/3程度で済ませることができる。事業が成功するかどうかは
 本人の腕次第。(例:(株)会社ごっこ)
事例発表   
  細内 信孝  コミュニティ・ビジネス・
           ネットワーク 理事長
・地域コミュニティの持つ基礎集団としての役割が、今、見直されようとして
 いる。
・コミュニティビジネスとは何か。
 顔のみえる関係の中で小規模に立ち上げ、地域の中で組み立てるビジネス。
 これまで活動として行っていたものを、ビジネスとして捉え直す。
 収益は地域に還元する、収益を追求するだけを目的としない地域事業(NP
O等)
・コミュニティビジネスとシニアによる社会的企業の立ち上げ。
 地域に眠っている有能な資源や人材を掘り起こす。
 専業主婦、退職後の人々、新卒者、ハンディキャップを持った方々、等、多
 くの人がコミュニティビジネスを手がけ始めている。
 コミュニティ再生には、ビジネスの思想を持たなければならない。現在の成
 功率は30%程度であるが、損益分岐点を見極めることが大切である。
・シニアによる社会的企業の実例紹介
 商店街活性化のため地元商店会が出資しあって給食事業を始める等。
 コミュニティビジネス すみだ(東京都墨田区)、アモール・トーア(東京
 都足立区)、(株)小川の庄(長野県小川村)等。


【討議】
・シニアによる起業のパターンには、大競争型(企業的企業)と共存型(社会
 的起業)の二つがある。
・大競争型…知識・経験、資力、時間を生かす。やる気、働く気のある人を集
 めること。ビジネスは発想が勝負。それなりの準備、投資が必要。
・共存型……コミュニティ再生、相互扶助がコミュニティビジネスに移行し得
 る。リアル、バーチャル、双方のコミュニティを持つようにする。地域のみ
 にとらわれず、繋がりを大切に「仕事」をしていく。

【まとめ】
・シニアによる起業と情報化社会(ポスト工業化社会)
 国家型社会、工業化社会を経て、これからは福祉社会を目指していくべきで
 あろう。シニアによる起業は、競争型、共存型、それぞれにチャンスがあ 
 り、これからの福祉社会の構築に貢献することができる。リアルとバーチャ
 ルの双方が混在している状態であるが、その両方とバランスよく繋がりを持
 つ工夫が必要である。日本は目指すべき未来の型が未だ混沌としているが、
 「日本的な未来の型」を創って次代へ引き渡さなければならないのではない
 か。