竹内薫:99.9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 光文社新書241(2006)
飛行機が飛ぶ理由は、実はよくわかっていない ベルヌーイの定理で説明されるが、上下に分かれた空気は決して同時には合流しない。しかし、翼の上を通った空気のほうが早くなるのは事実である。 飛行機は渦で飛ぶという説もあるが、確認はできていない。
世界は仮説でできている ガリレオはボローニャで大学教授たちに望遠鏡を披露した。望遠鏡は地上の景色を見るには便利だが、天体観測には役立たないとされた。天上界は神のすむ世界だから完璧なはずだ。望遠鏡で星を見ると、完璧な世界は見られないから、これはウソだと当時の大学教授たちは考えた。 ティコ・プラーエは天動説と地動説の折衷案を考えて、実証すべく天体観測した。弟子ケプラーがケプラーの法則発見。その結果、天動説は捨てられた。
自分の頭のなかの仮説に気づく 帰納はボトムアップ、演繹はトップダウン。 人は、自分に都合のいいように解釈する。 世界の見え方自体が、自分の頭の中の仮説によって決まる。
仮説は百八十度くつがえる ノーベル賞受賞者エガス・モニスのロボトミー手術は、今になると悪名が高い。 十番目の惑星ケレスは小惑星とされた。冥王星も小惑星だが例外的に惑星に準ずるものとされている。
仮説と真理は切ない関係 カール・ポパー「科学は、常に反証できるものである」 理論に反する実験や観察がで出てきたらその論はダメだということを潔く認める、それが科学である。 宗教では、自分たちの神様が間違がっているとは決して認めない。たとえば不幸な出来事が起これば、「神の与えた試練だ」と別の解釈をする。オウムも世界が破滅すると騒いだが、自分たちの信仰でそうならなかったと信者に説明した。 共産主義は科学ではない。共産主義の国が崩壊しても、共産党は存在する。共産党はあいかわらず存在している。
「大仮説」はありえる世界 知的設計者説:宇宙のどこかにいる知的設計者が、DNAを設計して、生物を創り出したという説
仮説をはずして考える 哲学の役割理論では、多重人格というのは当たり前。 一人の人間が、会社と家庭で、それぞれ別の役割を演じる。 相対性理論では、太郎時間と次郎時間のどちらも正しい。 例として、太郎がうまいと言うラーメンを、次郎はまずいと言う。
相対的にものごとをみる 物理学のエネルギーの定義は色々 ニュートン力学では、質量*速度*速度/2(物体は動くとエネルギーを生じる) アインシュタイン相対性理論では、質量*光速*光速(動かなくても物体はエネルギーあり) 定義が違えば、話は通じない。
ーーーーーーーーーーー 私のコメント
飛行機の翼の上下に分かれた空気が同時には合流しないで微妙にずれていても、翼の上を通った空気のほうが早くなれば、やはりベルヌーイの定理が存在するのではないのか。理論通りにならないのは誤差とか諸抵抗みたいなものがあるから。
「大仮説」つまり知的設計者説:宇宙のどこかにいる知的設計者が、DNAを設計して、生物を創り出したという説 それが真実なら、その知的設計者はどこにいてどんな存在なのか、それらを示さないと人は信じられないだろう。やはり、これは一種の宗教みたいなものだから、大学教授が講義の中で説明すれば教授としては不適格者ではないのだろうか。
相対性理論では、太郎時間と次郎時間のどちらも正しい。 の例として、太郎と次郎で同じラーメンの評価が違うのは、味とか感情は心の問題で 物理学のことではないのだが。
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