これは素晴らしい作品。ぜひ一度読んで頂きたい。しかも今年の干支、トラの話である。というより、もと人間(=詩人)であった虎の悲しい物語である。 文章は、無駄のない、しかも含蓄に富んだもので、たかだか10頁ほどのスペースに、無限の内容が畳み込まれている。 角川の文庫では、巻末にこの作の元となった「人虎伝」が収録されている。ぜひ読み比べてみることをお勧めしたい。一読後、中島敦のこの作が原作に対して、決して引けを取らないことが、きっとお分かり頂けると思う。
唐辛子 紋次郎さん、おはようございます。> これは素晴らしい作品。ぜひ一度読んで頂きたい。しかも今年の干支、トラの話である。というより、もと人間(=詩人)であった虎の悲しい物語である。私見によれば(あまり読書家ではないけれど)、「山月記」は日本文学上、比類の無い(少しオーバーかな)傑作だと考えます。隠居所へ移るとき、愛蔵書の大方は泣く泣く処分(寄付)したのですが、俳句関連の書物と、どうしても再々読したい数冊の本は手放しがたく持ってきました。その中に中島敦著「山月記」があります。虎になってしまった主人公を自分の越し方と重ね合わせて、エラク“感極まって”、時々は落涙です。(ホントです) 桐子